ジュエ氏は最近、金正恩氏とデザインが似たコートを着用する場面が増えた。拳銃を発射したときも、2人はデザインのよく似た黒いジャンパー姿だった。
前出の元幹部は「次の指導者はジュエだと、側近や一般市民の意識に刷り込みを行っている」と語る。
北朝鮮では、あってはならないことだが…
金正恩氏自身も、祖父の金日成国家主席の「真似」を繰り返し、権威のおこぼれに与かろうとしてきた。金日成氏が愛用した白いスーツを着用し、髪形を似せ、腕を背後に回して腹を突き出すしぐさなどだ。
そんなジュエ氏だが、徐々に自我も目覚めてきているようだ。例えば視線だ。北朝鮮の側近たちは、現地指導する金正恩氏に視線を集中させる。ある者は卑屈な笑みを浮かべ、大げさにメモを取る。
そんななか、ジュエ氏だけが無表情で異なる方向に視線を漂わせている写真が何枚も出ている。最高指導者の権威を絶対視する北朝鮮では、あってはならないことだが、中学生くらいの年頃であれば、当然のことかもしれない。
ジュエ氏が折に触れ、金正恩氏と腕を組んだり、顔をくっつけ合ったりする写真も流れている。スキンシップとして過剰で、前出の元幹部も「朝鮮の公序良俗に合わない。不快に思う人も多いだろう」と語る。むしろ、こちらは「最高指導者に最も近いジュエ氏こそ、後継者だ」と周囲に刷り込ませるための、「やらせ写真」だと言えるだろう。
北朝鮮は毎年3月に新学期が始まる。ジュエ氏もこんな調子で引っ張り回されては、勉強したり、友達をつくったりする時間もないだろう。いずれ最高指導者になるとしても、人間形成が追いつかないままでは、本人も周囲も苦労することになる。
