「反中国的な態度は偽のナショナリズム」

 トッド氏は日本のナショナリズムのあり方にも鋭い目を向けた。

「私が注目するのは、“想像上のナショナリズム”が日本にはあるのではないか、ということだ」と切り出し、こう続けた。

「実際には日本は従前の主権を回復してなくて、アメリカの下にいる。その枠の中で反中国的な態度を取るのは、偽のナショナリズムにはまり込んでいくことでしかない」

ADVERTISEMENT

左からトッド氏と、通訳を務めた堀茂樹氏

 真のナショナリズムとは「日本を上から抑えているアメリカから自立独立を勝ち取っていくこと」に他ならないと主張した。

核兵器を所有すべき理由

 では、その独立をどう実現するのか。トッド氏は20年来の持論を改めて展開した。

「核兵器を日本は中立の立場に立った上で所有して、しかもそれを平和のための抑止手段として持つ」ことが不可欠だという。ただし、その核武装は中国に向けたものではない。

 

「日本からアメリカに去ってもらう、沖縄から出ていってもらうために核兵器が必要なんだということを中国にも理解させるようにするのがいい」と語った。

「意地を張った自己満足のナショナリズムに浸ってる場合じゃない」。トッド氏の言葉は、日本の安全保障論議に根本的な問い直しを迫るものだった。

最初から記事を読む 「中国・ロシア・イランの独裁者の方が合理的」エマニュエル・トッドが警告する“トランプとアメリカの非合理性”