今年の夏は、前半ほんとヤバいぐらいの猛暑に見舞われて、気象庁が「災害級」というぐらいの高温でありました。確かに「暑い」ってレベルじゃないぐらいの酷暑で、冗談抜きにして外を出歩いて命の危険を感じる状況だったのは記憶に残ります。

 そんななか、男が日傘を差すのはありやなしやという暇ネタで随分盛り上がりましたが、その陰で高校野球はあまり気にせず開催され、地方大会はマジヤバの暑さの中で熱戦が繰り広げられていました。いや、ヤバイだろ。せめてナイトゲームにしようぜってぐらいにヤバイ。

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高野連会長「金足農、高校野球のお手本のようなチームでした

 あまりにもヤバイので、高校野球は甲子園ではなく京セラドームあたりで開催したほうがいいんじゃないか? っていう話が出ておりましたが、なんかこう、高校野球は猛暑ですら美談にされてしまうほどの状況になっておりまして、熱中症で亡くなった女性マネージャーさえも「彼女の死を乗り越えて」的などうしようもないハートフルストーリーにされてしまって、大丈夫なのかと思ったわけです。

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 や、人が亡くなってるんですけど。ヤバくないですか。

 さらには、秋田県代表の金足農の躍進もありつつ、甲子園閉会式で高野連の八田英二会長が「秋田大会から、ひとりでマウンドを守る吉田投手を他の選手が盛り立てている姿は目標に向かって全員が一丸となる高校野球のお手本のようなチームでした」などととぼけたことを語っていました。さすがにマズいと思うんですけど。高校生なのに、金足農業の吉田輝星投手は甲子園大会で計881球を投げたそうですよ。見ている側はそりゃ感動しますよ。辛そう、痛そう、でも頑張った、感動した、って、単なる見世物のレベルを超えたヤバさだと思うんですよね。その点では、先日東洋経済で広尾晃さんが問題提起してまして、内容はもちろんごもっともなのです。

金足農「投手の玉砕」を賞賛する甲子園の病 いったい誰のための高校野球なのか?
https://toyokeizai.net/articles/-/234656

熱投した秋田・金足農の吉田輝星投手 ©AFLO

 そして、おそらくは当事者はみんな「問題だ」とは思っているのでしょう。私の見聞きする限り、個人的な意見として「甲子園を頂点とする高校野球のシステムのままではマズい」とヤバさを認識している野球関係者はほぼ全員と言っていい。まあ、中には「俺も甲子園でたくさん投げたし、故障にも暑さにも負けずに頑張った。だから後輩も苦難を乗り越えて頑張ってほしい」という“気持ち”でどうにか意義を見出す人もいなくもありません。