90年代サブカルの墓標ともいえる『オールナイトロング』(双葉社)と、時代を狂喜させた“鬼畜系”サブカル雑誌の現場を回顧する『凡夫 寺島知裕。』(清談社Publico)。それぞれの著者である椎名基樹さんと樋口毅宏さんが、電気グルーヴとコアマガジンのエロ本という意外な接点を手がかりに、“あの時代”の実相を語り合う。

 電気グルーヴの深夜ラジオでも行われた、有名人のプライベートをネタ化する過激な文化は、なぜ生まれ、どのように広がったのか。その“鬼畜と悪ノリの時代”はなぜ終わりを迎えたのか──。そして、今もカルチャーの最前線を走り続ける電気グルーヴは、なぜそうした時代を生き抜くことができたのか。90年代サブカルの光と影、その終焉の背景を掘り下げる。(全3回の3回目/最初から読む

椎名基樹さんと樋口毅宏さん ©橋本篤/文藝春秋

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卒アル暴露に、電気のエロ本連載。90年代サブカルが内包していた「毒」の正体

椎名 『電気グルーヴのオールナイトニッポン』では、有名人の卒業アルバムをネタにした投稿コーナーがあったじゃないですか。樋口さんの『凡夫 寺島知裕。 「BUBKA」を作った男』(清談社Publico、以下『凡夫』)を読んで『BUBKA』のやってたことの過激さに驚きつつ思い出したんですけど、有名人のプライベート写真とかを集めてネタにするのって、もしかしたら電気の番組が最初だったんじゃないかなって。

©橋本篤/文藝春秋

樋口 確かに!

椎名 もちろん、良くないことですよ。でも石野(卓球)さんの恐ろしさって、そういう「弱み握り術の凄さ」にもあると僕は感じていて(笑)。いまネットで「サブカル」って調べると、僕の思う青林堂的なサブカルではなくて、鬼畜系の話がどんどん出てくるんですけど、石野さんはそっちの感覚も持っていたのかな、って。90年代って、どうしてあんな鬼畜系ブームみたいなものが起こったんでしょうね?

樋口 今の若い人たちが「サブカル」って検索すると、そういうのが先に出てきちゃうのは悲しいし嫌だなぁ。でも、僕が電気のオールナイトニッポンを聞いていた頃、電気は『スーパー写真塾』(コアマガジン)というエロ本に連載を持っていたんですよね。

椎名 えー、そうなんですか!

樋口 そんなに長くは続かなかったですね。僕がコアマガジンに入社する95年頃には連載を卒業する感じだったと思いますし、会社でお会いしたこともないんです。コアマガジンにはいろんな種類の鬼畜系の要素がありましたけど、僕は猟奇的なものにはそんなに乗れなかったんですよねぇ。

椎名 そういうのが今はサブカルの一種みたいになってますよね。僕のイメージではサブカルといえばみうらじゅんなんだけど。