――タイトル「いとしきもの」には、どんな意味が込められているのでしょうか?

小川 そうですね、50歳という年齢を過ぎる前あたりから自分にとって大事なものや好きなものって何なんだろう? と考えてまして、本当に心から愛せるものだけ傍に置きたいなと思うようになりました。ですので、山小屋にあるモノは自分にとって「いとしきもの」なんですね。もちろん犬のゆりねや、山小屋の建物や周囲の森も含めて。

 そして、それぞれの読者の方がその人にとっての「いとしいもの」を見つけられるきっかけにもなったらいいなと思って、このタイトルにしました。

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決断して行動する秘訣

――4年前に決断して移住されたわけですけれども、おそらくきっと、決断して行動に移す、ということの連続だったのではないかと思います。そのときに何か心がけていたことはありますか?

小川 最初はなにもかも自分ひとりで決めるということに対して、怖さみたいなものがありました。でも、そうしたことを重ねていくうえで、「大丈夫かな、これは自分で出来るかな」とトライしていくうちに、それが逆にだんだん面白く思えてきたんです。

 自分で決めると間違うこともありますし、その責任は自分に返ってくるわけですけど、 たとえば二人で決めた場合だと、わたしはこう言ったのに相手のいうことを聞いて違う結果になってしまった、と人のせいにする面も出てきてしまう。でも、一人で決める場合はそれがない。ですので、すごく清々(すがすが)しいと思います。

お気に入りのかごと日傘を持って、トークイベントの会場へ。撮影:鈴木七絵

――失敗しちゃったときって誰しもあると思うんですけれども、気持ちの切り替え方はどのようにしてきましたか? 

小川 起きたことは起きたことで、もう覆(くつがえ)らないですし、そこにずっとこだわっていても何も解決はしないので、そこでじっくり自分で反省会はするんですけど、でもそこからまた違うルートを探します。

 私がいつも心がけているのは、最終的に結果がオッケーだったらいい、という所に無理やりにでも持っていくようにしています。忘れるというのもちょっと違うと思うんですけれども、ただ気持ちをそこから切り替えて、次に向けて道を探していくほうが有効かなと思います。

(2回目に続く)

星の王子さま (文春文庫 サ 9-1)

サン=テグジュペリ,倉橋 由美子

文藝春秋

2019年5月9日 発売

『星の王子さま』 *解説を小川糸さんが書かれています