彼には、自分の家のローンもあった。その額は10万円。ほかの出費もあり、給料30万円ではかなりキツイ状況となった。

 年を重ねるごとに物件の価値は下がった。3年後、家賃は下がってしまう。一方で修繕積立費は上がり、手出しは月4万円となった。

 男性は元同僚に問い合わせようとするも、彼はもう辞めて連絡先もわからなくなっていた。

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解約すらできずに途方に暮れる

 そこで「早いうちに手仕舞おう」と決める。しかし、不動産会社がそれを認めてくれなかった。「こちらのサブリース契約は、解約不可となっています。そのため、売却は不可能です」と言うのである。

写真はイメージ ©makoto.h/イメージマート

 サブリースとは、不動産管理会社がマンションのオーナーから、そのマンションを借り上げ、それを入居者に又貸しする契約方法である。所有者としては、空室リスクを避けることができるため、マンション投資では、多くの人が活用している。通常、サブリースは「2年後解約可能」といった条件で契約を結ぶが、この不動産会社は悪徳業者で、「解約不可」と契約書に書かれており、男性はそれを確かめることなくハンコを押してしまっていた。こうなると、いくら文句を言ったところで、男性に勝ち目はほとんどない。

 年月が経つにつれ、さらに家賃は下がり、修繕積立費は上がる。物件自体も資産価値が下がり、周囲の相場を見ると、35年後は、せいぜい800万円がいいところだろう。

 最初の10年間は月4万円、その後の25年間は月6万円の手出しだとして、トータルの支払い総額は2280万円となる。つまり、約1500万円の負債を抱えることが予想されるのだ。

 男性は今、途方に暮れている。

次の記事に続く 評価額1億5000万円の実家を売るには“10年以上音信不通の姉”のハンコが必要…親の急死で「相続税地獄」に陥った55歳男性の悲劇