新宿区の一等地に実家を持つ55歳の男性。父親と「家を売却し、生前贈与で相続税対策をしよう」と話し合い、安心した男性は高級車を買うなど散財してしまう。しかし直後、父親が急死。待っていたのは、1人1840万円という莫大な相続税の支払いだった。親戚に借金をしてなんとか税金を払うも、今度は評価額1億5000万円の実家を売却しようとしたところで「最大の壁」にぶち当たる……。
連絡が取れない親族の署名と押印がなければ不動産の売却ができないと知った男が起こした行動とは。永峰英太郎氏の著書『人はこんなことで破産してしまうのか! 推し活、ペット、不倫、介護、投資……普通の人でもハマる落とし穴』(三笠書房)の一部を抜粋して紹介する。
◆◆◆
生前贈与で相続税対策をする計画を立てていた父
東京都新宿区に住む55歳の男性の母親はすでに他界していたが、父親は健在であった。彼は先祖代々の土地のある渋谷区の一等地に住んでいた。男性には姉がいたが、10年以上、音信不通の状態だった。
渋谷区のその土地はかなり広く、普通のサラリーマンだった父親にとっては、固定資産税の支払いがきつく、息子によくこうこぼしていた。
「周りには『いいところにお住まいで』と言われるけど、冗談じゃないよ。どれだけ税金を取られると思ってるんだ」――。
2022年の正月、2人は父親の家で新年を祝う。そのとき父親が、息子にこう話した。
「この土地を売って、マンションに住むよ。残った現金は、暦年贈与などで段階的にお前に渡して、相続税が安くなるようにするわ」
親が生前に保有していた土地については、「小規模宅地等の特例」を使うことで、その評価額を最大80%減らすことができる。
相続税対策のため、家の売却を決意するも……
しかし、この特例の適用を受けるには、相続人が「自分の持ち家がない」といった条件をクリアする必要がある。男性はこの時点で、すでに家を所有していた。そのこともあり、父親は、家を売ることにしたのだ。
父親から生前贈与を受けられることが決まり、男性は1000万円近くする自動車の買い替えなど、自分の貯金をどんどん使っていった。
しかし、である。
