3月24日朝9時頃、東京・元麻布にある在日中国大使館。その“招かれざる客”は遠く870キロ離れた宮崎からバスと新幹線を乗り継いで上京していた。ジャンパーに細身のカジュアルパンツという出で立ちで、敷地内に侵入すると、植え込みに身を隠す。こうして機会を窺ったのは、在日中国大使に自らの主張を直談判するためだ。

「意見が受け入れられなかった場合は自決しようと思っていた」

 その言葉通り、敷地内からは、刃物、そして所持品からは、陸上自衛隊員の身分証が……。

 在日中国大使館に現役の陸上自衛隊員が侵入した事件。警視庁は、宮崎県えびの駐屯地に所属する村田晃大(こうだい)3等陸尉(23)を建造物侵入の疑いで逮捕した。

日本の警察と中国側で食い違う刃物に関する発表情報

 社会部記者が解説する。

「隣接するビルから飛び移る形で侵入したと見られ、15分ほど隠れた後、清掃員に自ら『大使に面会したい』と話しかけたことで、事態が発覚しています。逮捕後には、『神からの指示』など意味不明な供述もしており、敷地内の植え込みから刃渡り18センチの包丁のような刃物も見つかりました」

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 この刃物を巡っては、日本の警察と中国側で発表情報が食い違っている。

「警察は本人の供述として、あくまで自決用であったと説明。中国側は男が『“神の名のもとに”外交官を殺害する』と脅迫したと発表しています」(同前)

在日中国大使館 ©時事通信社

「大人びた発想をするんだな」「真面目で頭の良い子」

 誰も予想だにしなかった幹部自衛官による大使館侵入事件。なぜ青年は前代未聞の暴挙に出たのか――。

 岡山県倉敷市で生を受けた村田。2人兄弟の次男で、父は地元で働く薬剤師。一家は村田が生まれた年に、一戸建てのマイホームを購入している。小・中学校の同級生が語る。