ライブドアによる買収攻勢に対し、ニッポン放送の亀渕昭信社長(当時)は、企業防衛のため「自社の業績をわざと悪く見せる」という禁断の焦土作戦を検討していた。社外取締役からの猛反発、そして重くのしかかる高裁敗訴の現実。会社と社員を守るために「バカ」を演じ続けた、サラリーマン社長の極秘日記。(『狙われたフジテレビ~ニッポン放送元社長が明かすライブドア買収攻防21年目の真相』より抜粋。全3回の2回目/続きを読む

サムネイル+写真①苦い顔の亀渕昭信社長(当時) ©時事通信社

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2005年3月23日水曜日 天気:晴れ

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 昨夜カミさんと話して、「人生は舞台である。僕は、今、ニッポン放送の社長を演じているのだ」と考えたら、少しは気が楽になっている。

 お昼から定例取締役会。議題は二つ。

 来年度予算と関西テレビ他の株を大和へ売却する件。両方ともK取締役、N取締役、E取締役3人から猛烈な反対にあう。もうグチャグチャである。なんという夢のない予算なのだ、とKさんは棄権、Nさんは反対である。情けない。株券譲渡のほうは先延ばしとなる。社外取締役三人は今日の結果、もし、ニッポン放送が敗れれば辞任するという。

「ニッポン放送の役員・社長はバカだ……」

 と、言いかねない勢いである。もうどうにでもなれ……かな。あとは、高裁の判断待ち。どう見ても不利である。

役員会議室(イメージ) ©アフロ

 午後4時05分、天井副社長が部屋に来る。

「ダメでした」

 という一言。グラッと来る。負けたのである。やっぱりである。アリャリャ、コリャリャである。日本で一番不幸な社長になったかもしれない。

 でも、現実は現実、しっかり受け止めなければならない。日枝さん、羽佐間さんに電話。村上社長からはお見舞いの電話が来る。今夕6時半からの記者会見のコメントをしっかり読む。川内相談役が何度か部屋にやってきて慰めてくれる。が、時すでに遅しである。テレビのニュースは、各局大騒ぎである。素敵だったニッポン放送もこれまでか!?