「少し見るつもりが、気づけば夜中の2時」「自己嫌悪に苛まれながら次の動画を開いてしまう」――。インターネットでポルノコンテンツを見漁ることを止められない人たちがいる。

 近年では、ストレスを抱えた女性がそうした依存に陥るケースも急増しており、男性とは違う深刻な症状も報告されているという。ここでは、専門家である石川有生氏の著書『脳が壊れるインターネットポルノ依存症』(すばる舎)より、現代の静かなる病の実態を抜粋して紹介する。

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ポルノ依存症はスマホの登場で激増した

 事例 リョウタさん(45歳)

 ふと時計を見て呆然としました。気づけば夜の2時だったんです。

 仕事が終わって家に帰ってから、軽い気持ちで、スマホでポルノを見始めたときは、すぐ終わらせるつもりでした。でも次から次に新しい動画に手を伸ばしているうちに、時間が飛ぶように過ぎ去っていたんです……。

 筆者のもとに相談に来てくれたリョウタさん(仮名)はそう話してくれました。

写真はイメージ ©︎AFLO

 彼が10代の頃、ポルノに接する手段としては、父親が持っていたアダルトビデオや雑誌をこっそり見ることくらいでした。

 手間もかかるし、常に「家族の誰かに見つかるかもしれない」という不安もありました。それに、父親のコレクションにも限りがありました。

 ところが、今は違います。

 スマホを手に入れてから、リョウタさんのポルノ視聴時間は確実に増えていきました。なにせ、スマホさえあれば、無限に、しかも誰にも知られずにポルノをいつまでも楽しむことができます。

 最初は寝る前の数分だったものが、そのうち1時間、2時間と過ぎていくようになりました。彼はポルノを見続けるたびに「自分は時間を無駄にしている……」という自己嫌悪に苛まれながら、つい次の動画に手を伸ばしてしまうのでした。

かつてはハードルが高かったポルノコンテンツ

 ひと昔前は成人向け雑誌やアダルトビデオ、アダルトDVDがポルノコンテンツの主役でした。

 これらには、「調べる」「店に行く」「買う」「機器を用意する」「再生する」といった、少なくないコストや手間が伴いました。

 さらに、消費する場所も主に自宅だったため、家族がいる環境では視聴できる時間や場所が制限され、おまけに「恥ずかしさ」という壁も存在しました。

 ポルノはほとんどの場合、一時的なものとして消費され、生活や精神に深刻な悪影響を与えることは少なかったのです。

 しかし、スマートフォンが本格的に普及した2010年代以降、状況は一変しました。スマホでインターネットを使えば、膨大な量のポルノコンテンツが簡単に手に入るようになったのです。海外のサーバーに違法にアップロードされたコンテンツについては、無料で視聴している人も少なくありません。

 こうして、リョウタさんのように、時間を忘れてポルノを見続けてしまう人が増えているのです。