「ウソでしょ」「診断書を出せ」――精巣がんになった36歳のインフルエンサーに、SNS上で数千件の疑念と中傷が押し寄せた。見た目が“元気そう”という理由だけで、事実はねじ曲げられていく。病気と向き合うはずの時間を奪われた当事者に、何が起きていたのか。昨年5月、36歳の若さながら「精巣がん」と診断されたインフルエンサーのたたさんのインタビューをお届けする。(全3回の2回目/続きを読む

昨年、精巣がんを宣告されたインフルエンサーのたたさん(写真:本人提供)

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がんと誹謗中傷

──「がんになった」とSNSに報告後、それを疑うコメントや誹謗中傷するコメントが数千件近くついていたそうですね。

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たた 僕もびっくりしました。僕の見た目がぱっと見元気そうな感じだからか「がんは嘘じゃないか」とめちゃめちゃ書かれて。誹謗中傷された経験は多い方ですが、それでも過去にないくらい異常な量のコメントがありました。「がんってウソついて金稼ぎたいんだろ」とか⋯⋯。

「入院も嘘で、レンタルスタジオを借りてるんじゃないか」とか…⋯。それで、レンタルスタジオのリンクをコメント欄に貼られるんですよ。ドラマ撮影とかにつかう病院風のレンタルスタジオがあるみたいで。そしたらコメント欄で「似てる」「絶対ここだ」と賛同する声が広がっていって…⋯。

──怖い。

たた あまりにも疑う人が多いから、本当の友人にも病気は嘘だと思われてしまうんじゃないか、と。それが一番怖いなと思って。あまりにも「こんなに早く診断が出るわけない」「がんで即手術なんてありえない」みたいにたくさん書かれるから、そっちの方を信じてしまうんじゃないか、と。

──たたさんのり患した精巣がんは診断も早くできて、手術も比較的軽くてすむケースもあるそうですね。ただ、自分や身近な人ががんを経験していると余計に思い込みがあるのかもしれません。

たた そうなんですよ。「私ががんの手術した時はそうじゃなかった」というコメントが多くて。でも、がんにも色々種類があるし、治療方法も違いますよね。なのに「医療関係者ですが、点滴の位置がおかしいと思う」「シーツのしわの位置が同じだから、同じ日に撮影しているんじゃないか」とかコメントがあって。そしたら他の人も、それに同調しはじめるんです。「確かにおかしい」「あんなところに点滴する人見たことない」とか⋯⋯。