佐藤愛子100歳の心持ちとは
心持ちって言ったら要するに、友達がいなくなって寂しい、ですね。百歳になると、友達がいなくなってしまう。作家仲間なら中山あい子にまず会いたい。川上宗薫と遠藤周作にも会いたいですね。
若い時の寂しさは解決できる寂しさなんです。この年になったら解決できない。賑やかなところへ出ようにも、一人じゃ出かけられない。来てもらうしかないわけです。だからインタビューとか打ち合わせとかうれしいです。とても賑やかだから、気分がいいですよ。
作家でいうと、そう、司馬遼太郎さんとは同じ年ね。五黄の亥。猪突猛進です。大衆向きの占いの本を読むと、必ず「向こう見ずで突進する」と書いてある。そしてやはり「孤独だ」ってありますね。
当然でしょうね。言いたいことを言ってるから。司馬さんも「俺はあいつ嫌いなんだよ」って言ったりしてました。大阪の人ってこともあるでしょう。私は兵庫ですが、あの辺の人って言いたいことを言いますから。
作家同士の楽なのは、作品について「あれはよくない」とか言っても怒る人が少ないことです。率直なアドバイスのつもりだし、相手もそう受け止めてくれる安心感がある。
でも、親しくしていた女性作家が急に冷たくなったことがあって。きっと私が言ったかハガキに書いたことが気に障ったのだろうと思うけど、わからないから釈明のしようがない。面倒くさいからそのままにしました。おしゃべりな人間には、よくあるんですよ。
うちの娘など、私を反面教師にしてますから、急にわけもわからず友達が冷たくなるなんてことはないと思いますよ。ええ、娘も孫も、私とタイプが違うんです。
父の紅緑はもっとひどかったですよ。「笑い方がいかん」とか、それが嫌う理由でしたから。でも私は、反面教師にはしなかった。仲間ですね。私、父にそっくりですよ。それでね、母にもそっくり。母は「備えあれば憂いなし」が標語のような人でした。私も心配性なんです。
