クマの1年の過ごし方
クマは山の中でどのように暮らしているのだろうか。クマの生活史から言うと、3月から4月頃に冬眠から目覚める。ただし、冬眠から目覚めても、すぐに100%元気というわけではない。穴から出ても最初のうちは、1日2時間か3時間だけ動くという感じで、徐々に活動を活発にしていく。これはウォーキング・ハイバーネーション(歩く冬眠)と言われるクマの特徴的な生態で、歩きながら寝ているような状態が冬眠明けから2週間ぐらい続く。その後、1日当たりの活動時間を徐々に増やしながら活発になっていく。
その後、5月中旬頃から繁殖期に入り、だいたい7月終わり頃まで繁殖期が続く。その間、オスはひたすらメスを探す。ただし2カ月半ずっと発情しているわけではなく、波があるようで、日々オスは一生懸命メスを探すが、出会ったメスの発情が落ち着けばオスの活動量も落ちるようだ。おそらく、2カ月間も発情し続けたら消耗しつくしてしまうと考えられるため、こうした波があるのだろう。
メスのほうはどうだろうか。特に、冬眠中に子を産んだメスは穴から出てくるのが最も遅い。十分に動けない子を連れて穴から出るのは危険なためであり、周囲が芽吹いた後の5月頃になってからである。こうしたメスは、3月や4月には目は覚めているが、穴の中で子と過ごし、なかなか穴から出てこない。その後、子を産んだメスは授乳をして子育てをする。一方、子がいないメスや前の年に生まれた1歳の子を連れているメスは、冬眠を終えた後は普通に行動を始める。1歳の子が親と別れるのも春から夏の間と言われる。その後、子がいないメスはオスとめぐり合い、メスが受け入れれば交尾に至り、ダメならメスは逃げていくということを繰り返す。これが6、7月頃のメスである。
8月頃になると、オスもメスも繁殖行動が収まってきて、1日当たりの活動時間が一度、急激に落ちる。6、7月頃は1日15時間ほど起きているが、8月頃には1日の活動時間が10時間ほどに落ち、休んでいる時間が多くなるのだ。これを冬眠に対して夏眠という言い方をすることもあるが、寝ているかどうかという表現は別として、あまり動かなくなる時間帯が増える。おそらく、夏の山には食べ物が少なく、無駄なエネルギーを使わないようにしているのだろう。
こうして活動が急激に落ちた後、お盆明け頃から再び活動時間が増えていく。そのあたりが、クマにとって冬眠前に栄養を蓄える秋モードに入るタイミングとなる。そして、秋の終わりには冬眠を始める。