「都市公園、河川、道路、駅舎その他の施設を故なく起居の場所とし、日常生活を営んでいる者」――いわゆるホームレス。少々意外かもしれないが、彼/彼女らの中には自ら望んでその生活を選んだ者もいる。その1人が、40代でわざわざ上京してまでホームレスになった「宇海(うかい)くん」だ。
社会生活から離れ、河川敷で送る暮らしとはどんなものなのか? 中国出身のジャーナリスト・趙海成氏の新著『河川敷の『原住民』令和ホームレスの実像』(扶桑社)から一部抜粋し、お届けする。なお、本文内の名前は仮名である。
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4月のある月曜日、私は新人ホームレスの宇海くんを訪ねた。
彼の登山用の小さなテントはキャンプ用の中型テントに変身していた。両側には窓があり、風通しが良くなっている。テントの四隅は鋼の杭で地面に固定されており、さらに川辺から2つの大きな石を運んできて、窓のある両側に置いてあった。台風でテントが飛ばされないようにするためである。
テントの中もきちんと整理されている。小さなテーブルの下にガスコンロが置かれており、左下のスーツケースの横には白いメッシュ状のものがあった。夜に読書するためのソーラーランプだという。
さすが宇海くんは野外生活の経験があり、しっかりと生活用品を揃えている。
宇海くんのテントの入り口には、多くのアルミ缶がある。彼が自分で拾ったものだ。アルミ缶を集める仕事は「そんなに難しくない」と話す。私は宇海くんにこう言った。
「アルミ缶を40キロ集めたら、一緒に自転車でリサイクルセンターに運びに行こう」
この機会に、アルミ缶をお金に換える経験をしてみたいと思ったのだ。宇海くんはそれを聞いてとても喜んだ。
私は宇海くんに尋ねた。
「ホームレスになってもう1か月以上経っていますが、どんな気持ちですか? 孤独や寂しさは感じますか? 一番不便なことはなんでしょうか?」
