沢尻演じる記者もまた、地方の支社に心ならずも転勤させられたという事情を抱え、何とかして東京に戻るため特ダネをものにしたい一心で男に接近する。現実の彼女はこれまでマスコミからさんざんバッシングを受けてきただけに、このキャスティングにはある種の批評が込められているようにも思える。
「沢尻さんはピンと張り直してくるんです」
成田凌は沢尻との共演について、《信治[引用者注:成田の役名]は緊迫した空気に耐えられるような心の強い人物ではないので、ピンと張った糸を緩めるようなスタンスで演じましたが、沢尻さんはピンと張り直してくるんです。緩めて、張って、の攻防を自然と繰り広げられました》と語っている(『#拡散』パンフレット、松竹・事業推進部、2026年)。現場の雰囲気を牽引するかのような彼女の演技はかつての作品にも通じ、もうすっかり調子を取り戻したのだと感じさせる。
沢尻は、2年前に活動を再開するにあたり《演技の世界に戻ると決めた今、私のなかに初めて“夢”ができたんです。どんな夢か? …それはまだ、自分の心のなかだけに留めさせてください》とほのめかしている(『GINGER』前掲号)。その夢も、いつかあきらかになる日が来るのだろう。
「40代になることが楽しみ」だった理由
彼女は20歳になったときに《20代は、30代のためにあると思ってます》として、そのためにいい経験も、失敗もたくさんしたいと抱負を述べていた(『日経エンタテインメント!』2006年10月号)。そうした考え方は一貫しており、休業を余儀なくされる直前、33歳のときにも、《私自身、芝居も人としてもまだまだだけど、日々の積み重ねで成長できていると実感している。誰よりもハングリーでポジティブだから成長しかないと思っている。どこまでも行けるし、行くしかない。だからこれから年を重ねて自分がどう変わるのか、40代になることが楽しみなんです》と、前向きに語っていた(『Numero TOKYO』2019年10月号)。
いよいよ40代を迎えた彼女が、これまでの失敗も含めて経験を糧に、どんなふうに変わっていくのか。今年に入ってからの出演作を見るにつけ、期待しかない。
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