「弟と長い間、連絡が取れていない――」

 姉から相談を受けた警察が、岩波準一さん(当時42)の自宅を訪れた。玄関を開けた瞬間、異様な光景が広がっていた。置かれていたのは、いくつもの消臭剤。さらに洋室のドアは、外側からガムテープで目張りされていた。

 ただ事ではない。警察が室内を確認すると、クローゼットの中から毛布に包まれた遺体が見つかった。衣服は身につけておらず、頭にはビニール袋。手首は縛られていた。令和5年、愛知県で起きた事件のダイジェスト版をお届け。なおプライバシー保護のため、登場人物はすべて仮名である。

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「ナンバー1にしてあげるよ」

 容疑者として浮上したのは、山内沙也加(同29)。18歳のときに岩波さんの古物買い取り店に査定品を持ち込んだことで知り合い、「SMプレイをしてくれたらナンバー1にしてあげるよ」という申し出を受け入れて以来、9年間にわたって関係を続けていた。

写真はイメージ ©getty

 岩波さんはその都度、100万〜200万円の高額な謝礼を払い続けた。

事件はなぜ起きた?

 事件が起きたのは、沙也加がホストの村越幹也(同22)に入れ込み、多額の売掛金を抱えていた時期だ。

 村越をナンバー1にするための締め日、岩波さんへの借金返済期限が重なったその日、沙也加は「久しぶりにSMプレイをしよう」と持ちかけた。村越に「今日は2000万円を持って遊びに行く」と宣言してしまっていたからだ。

 プレイ後、トイレから戻ると岩波さんは呼吸をしていなかった。沙也加はその場にあった貴金属を持ち出し、質屋で290万円に換金。さらに岩波さんの店から現金80万円を持ち去り、その足で村越の店で420万円を散財した。

 裁判所は「殺害は金品を奪う目的で、首の骨が折れるほど強い力で首を絞め続けた」と結論づけ、強盗殺人罪の成立を認めた。

 沙也加が岩波さんの自宅や店から持ち去った貴金属は計1381点、換金額は7436万円余りに上った。

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 ナンバー1キャバ嬢は盗んだ金を「何に使った」のか⋯本編は、以下のリンクからお読みいただけます。

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