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「トルコに行くことになったんだ」。日本人の親友のクラスメートに言うと、彼も「なんでディヤルが帰らなきゃならないのか」とショックを受けていた。そして、言った。
「これからは毎日遊ぼうぜ。約束だよ」
ディヤルは帰国が決まったことに伴い、塾に行くことをやめた。サッカー選手になる夢もあきらめた。クルド人はトルコでは差別的な扱いを受けるため、プロサッカー選手になる道は困難なのだ。ディヤルは言った。
「ぼくの夢は崩れた。人生が180度変わってしまった」
一家はせめてディヤルが中学を卒業するまで、あと半年は日本にとどまりたいと考えたが、入管はそれすら許さなかった。9月に入ると東京入管は「2ヵ月以内に自分たちで帰らなければ、強制送還する」と告げた。強制送還になれば、少なくとも5年は日本に入国できないルールだ。一家は11月初めにトルコに帰る決断をした。
ディヤルが急に帰国することになってしまいサッカーのクラブチームの仲間たちは驚いた。ディヤルはサッカーがうまいだけでなく、チームメート思いの優しい性格と、変顔が得意な、愛されキャラでチームの人気者だった。帰国2日前の11月2日にはみんなで焼き肉を食べに行き、3日にはチームは2つに分かれてディヤルを送る最後の「お別れ試合」をした。