汗水垂らしたお金で車を弄り、不便な形に変えていく――その酔狂を日常とする改造車オーナーのまわりには、一体どんな人間ドラマがあるのか。彼らの意外な素顔に迫る。

 今回は、セルシオをカスタムする「A.S」さんをご紹介。

結婚を機に走りは引退。それでも車弄りへの情熱は冷めない「A.S」さん

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結婚を機に「走り」は引退したものの…

 地元が北関東の方で、もともと周りが車好きばかりだったんですよね。私が免許を取る頃は、みんな走り屋系か、VIP系のどっちかに行くような感じで。私自身も、高校生の頃から動かない原付をバラして弄るような人間でしたから、免許を取ってすぐFC(2代目RX-7)を買ったんですよ。

 それからスカイライン、セフィーロ、ローレル、マークII、クレスタなど、スポーツ系を中心に20台くらいは乗り継いできました。とくに最後の方は、日産のRB26というエンジンの虜で……。日産のFR車を買っては、自分でそのエンジンに載せ替えて走っていたんです。

VIP最盛期の面影を多分に残した20系セルシオ

 ただ、結婚してからはめっきり走りに行くこともなくなりましたね。まだ乗りたい気持ちもありましたが、生活もあるし、次第にベースになる車も高騰して、手が出ない価格になってしまいましたから。ほんと、過去の車を1台でも残しておけば、今頃すごい価値になっていたんでしょうけどね。

90年代の大黒PAを彷彿とさせる後ろ姿

 そうしたなかで、7年前に見つけたのがこのセルシオでした。遊びに行った先輩の板金屋に、ほぼこのままの外装で置いてあって。完全に一目惚れで、その場で購入を決めましたね。

 買ってからは自分でマニュアルに載せ替えて、公認も取って。ほとんど前例がないミッション換装で、かなり苦労しましたよ。それでも、「自分で乗るならマニュアル」というのは昔から譲れないポイントなんですよね。

名門ホイールメーカーWedsの3ピースモデル「クレンツェ ケルベロス」

 私が若い頃は、こういうVIP系の車って、暴走族上がりみたいな人たちが乗っていたので、怖くてとても近寄れなかったんですけどね。今はもう、ひとつのスタイルとして普通にカスタム好きの人たちが乗っていますから。こういうイベントでの交流も楽しいですね。

パネル上部を中心に車体と同系色のレッドを取り入れたインテリア

 ただ、実はこのセルシオ、妻にはこの車を買ったことすら言っていなくて……。なかば衝動買いだったこともあり、「絶対許してくれないよな」と、実家の車庫に隠したままなんです。私の両親はもう亡くなっているので、妻が来る機会もないですし、バレてはいないんですけどね。

セルシオを隠している実家には、過去に使っていたRBエンジンも保管されているのだとか

 妻は昔から車弄りには寛容な方だとは思いますが、さすがに勝手に車を買って、7年も隠れて弄っているとなると……。ちょっと本当に、バレたらどうなっちゃうのか、考えるだけでも恐ろしいですね。

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