「静かな退職」が広がるいま、Z世代は本当にやる気を失っているのか。実態は、最低限の業務にとどめながらも、自分の市場価値を高めたいという意欲を併せ持つ“二面性”にある。転職を前提にキャリアを描き、1社目にも成長環境を求める彼ら。企業はどう向き合うべきなのか?

 ここでは、Z世代分析のトップマーケター・長田麻衣氏の著書『ほめられると気まずすぎてしぬZ世代、ほめて伸ばそうと必死になる上司世代』(徳間書店)より一部を抜粋して紹介する。(全2回の2回目/1回目から続く)

写真はイメージ ©shironagasukujira/イメージマート

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「若手世代は仕事への成長意欲はないのでは」という誤解

 2025年に「静かな退職」というキーワードが話題になりました。「静かな退職」とは、仕事への意欲を持てないことから、出世を目指してがむしゃらに働くのではなく、最低限やるべき業務を行うだけの働き方のこと。

 具体的には「言われたことだけをする」「出世欲がない」「飲み会などに参加しない」「残業をせずに定時で帰る」といったことが挙げられており、まさに若手世代のことでは? と思った方もいるでしょう。

 実際、マイナビによる「正社員の静かな退職に関する調査2025年(2024年実績)」によると20~50代の正社員のうち、44.5%が静かな退職をしていると回答。年代別に見ると20代がもっとも多く、46.7%が静かな退職をしていることがわかりました。

 ここまで読んで「若手世代は仕事への成長意欲はないのでは」という印象を持った人もいるでしょう。しかし、それこそ若手世代に対する大きな誤解。私が定性調査した結果を見ても、成長意欲がある若手は一定数存在しています。ただ、彼らの「成長意欲」は、上司世代の「成長意欲」とは質が異なるのです。

 若手世代は、「他者と比較せず、自分のペースで成長したい」という意欲を持っています。

 前出の「Z世代のキャリア観に関する意識調査」において、2024年と2025年に大学卒業予定の大学4年生および3年生を対象に仕事と成長に関する質問を行うと、「自分の市場価値をあげたい」と考えているZ世代は75.1%(男性71.5%、女性77.5%)にものぼりました。