長く闇に葬られていた虐殺事件
――この事件は歴史的に葬られていた時間が長く、韓国の若い人があまり関心を持っていないことに危機感を覚えている、という監督の言葉を読みましたが、やはり若い人たちにこの映画を届けたいという思いが、制作の大きな動機づけだったのでしょうか?
ハ・ミョンミ はい、その通りです。キム・ヒャンギさんをキャスティングしたのも、同時代の若者たちとつながりを持たせたいという思いが大きかったからです。そして何より「1948年」と聞くと、どうしてもおじいさんやおばあさんの時代の話で、遠い歴史だと感じてしまいがちです。しかしその1948年を、現在の時間とつなげたいと考えました。そこで若いキム・ヒャンギさんを主人公にして、一緒に作品を作ることになったのです。
――虐殺事件があったことは事実として知っていましたが、本当に映画で映像として見てみると、同じ島の住人同士が敵同士になるという、国としてはもちろん、小さなコミュニティの中でもそうなってしまうことが本当に悲劇だと感じました。それは今も世界のいろんなところで起きています。監督はこの映画を、世界的な今の情勢を考えながら作ったのでしょうか?
ハ・ミョンミ まず、制作する際に世界情勢そのものを意識していたわけではありません。しかし、「国家による暴力」というテーマについては、私たちが普遍的に理解できる部分があると思いました。先日、フィンランドで上映した際にはスペインからの観客もいましたし、フィンランドでも似たような出来事があったのです。日本もそうですし、韓国や東アジア全体、さらに世界的に見ても国家暴力を経験し、異なる考えを持つ人々同士がイデオロギーの対立から争いを経験してきたことは、共通した歴史の経験だと思います。ですので、今回私たちが語っているのはあくまで済州島4・3事件ですが、この事件を通して、観客の皆さんが自分たちの国家暴力の歴史を振り返り、改めて考えるきっかけになればと願っています。

