事件に続いた戒厳令、朝鮮戦争

――もしかしたら娘だけは生き残れたかも、と思ってもいいんでしょうか?

ハ・ミョンミ そう思っていただいても構いません。歴史的には、このすぐ後の1948年11月に戒厳令が敷かれました。これは大韓民国で初めての戒厳令で、その後に激しい混乱が起こり、多くの人々が命を落としました。そして1950年には朝鮮戦争が勃発し、刑務所に連行された人々の多くが行方不明となり、命が失われてしまいました。アジンとヘセンも刑務所に連行されていた可能性があり、そこで命を落としたのか、それとも生きて戻ったのかは定かではありません。観客にはそこに想いを馳せ、考えてほしいと思います。

『済州島四・三事件 ハラン』

ハ・ミョンミ 商業映画の脚本家として長くキャリアを積んだ後、2023年『彼女の趣味』で⻑編監督デビュー。第27回プチョン国際ファンタスティック映画祭では韓国ファンタスティック俳優賞と農協配給賞を受賞。また、サンパウロ国際映画祭で新人監督賞にノミネートされたほか、釜山国際映画祭でも上映され話題となった。2013年に済州島に移住。『済州島四・三事件 ハラン』は⻑編2作目の作品となる。

『済州島四・三事件 ハラン』
1948年、済州島。4月3日に武装蜂起が起き、10月には韓国政府が海岸線から5キロ以上離れた地域を敵性区域とみなし、“出入りする者は無条件に射殺する”という布告文を発令する。夫を探すため一時的に村を出たアジンは、義母に託した6歳の娘ヘセンのことが心配でたまらない。その頃、村では討伐軍が老人たちを容赦なく射殺していた。生き残ったヘセンは、母を捜してひとり山へと向かう。奇跡的に再会した母と娘は、命がけの逃避行を始める。
監督・脚本:ハ・ミョンミ/出演:キム・ヒャンギ、キム・ミンチェ、ソ・ヨンジュ、キム・ウォンジュン/2025年/韓国/119分/©Whenever Studio/配給:シネマスコーレ、MYSTERY PICTURES/ポレポレ東中野ほか全国順次公開中

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