タイトル『ハラン』に込めた思い

――『ハラン』(寒蘭)という題名に監督が込めた思いを聞かせていただけますか? どんな色の花なのでしょう?

ハ・ミョンミ ハランは漢拏山(ハルラサン)に咲く蘭の名前で、冬に花を咲かせ、紫や黄色などいくつかの色が混じった野生の花です。現在では天然記念物の保護種となってしまい、漢拏山でハランを見つけるのは難しくなっています。私がタイトルを『ハラン』(原題)とした理由は、あの残酷な歴史の渦中でも生きる力を持ち、花を咲かせようとした人々がいたことを伝えたかったからです。韓国では椿の花が済州4・3事件の象徴となっていますが、椿の赤い花は犠牲者を思い起こさせます。しかし、私はハランを通してその当時生き抜こうとした人々の意思や尊厳を語りたかったため、より強い意味を込めて『ハラン』を題名にしました。さらに、この花が今は天然記念物として保護されているように、人々が済州4・3事件を記憶し、守る気持ちを持ってほしいという、二重の思いも込めたんです。

ハ・ミョンミ監督

 ここからは映画の結末に触れていますので、ご鑑賞後にお読みください。

――少しネタバレをしてしまいますが、私は最後に強い衝撃を受けたんです。映画の中でアジンが幼い娘のヘセンと再会した際に「文字を学んで、この記憶を書き残してほしい」と言いますよね。ですから娘は生き残るのかと安心してしまったのです。しかし、6歳のヘセンすら暴徒として捕えられてしまう。この結末を書くに至った過程を教えてください。

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『済州島四・三事件 ハラン』

ハ・ミョンミ 結末については多くの議論があり、観客の方から「生かしてあげればよかったのに」といった悲しい声をよくいただきます。実は本来の脚本には、少し慰めになる別バージョンもありましたが、制作の過程で結末を変更しました。その理由は、この映画を作る際に、亡くなった方々を追悼する気持ちで制作しており、観客にも「彼ら全員が生きてほしい」という思いを持ってほしかったからです。例えば、漢拏山で響く2発の銃声は、ある人には母と娘の死の銃声として聞こえるかもしれません。ですが、当時亡くなったすべての人々を追悼し、彼らへの想いを馳せる象徴的な音として入れています。観客の中には「ヘセンやアジンは生き延びたのでは」と考える人もいれば、「銃殺されたのだ」と思う人もいます。私はあえてその解釈を開いたままにし、観客が悲劇を心で感じながら、母娘が必死に生きたことを願う気持ちを持てるように、この結末にしました。

『済州島四・三事件 ハラン』