世の中を変える“楽しい変人”

──佐々木さんが演じた大倉太吉は、腕の良い蘭方医ですが、どこか変わり者でもあります。

佐々木 太吉には子どものように好奇心旺盛な一面もあります。犬の解剖や難しい手術などにも、がむしゃらにチャレンジしてしまう。そんな人間くさいところを出せるように意識しました。

 緒方監督からは「太吉は “楽しい変人”にしたい」というリクエストがあったんです。「世の中を変える人間というのは、おそらく“楽しい変人”だから」と(笑)。

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撮影:志水隆

──そうした“変人ぶり”が、太吉の魅力につながっていますね。

佐々木 太吉は命を大切に考えていますが、生と死に対してどこかおおらかです。診療所の隣家には棺桶をつくる職人がいて、トンカン聞こえてくると「誰が死んだんだ? ありゃ寿命や」と達観している部分もあります。変人ではあってもどこか愉快で、そのエネルギーが人を救うことにもつながっているのだと思います。

──太吉は当時最先端の蘭方医療を行う医者ですが、当時主流だった漢方医療を“時代遅れ”とは見なしていません。

佐々木 そうですね。太吉も元は漢方医でしたし、漢方医療を否定しているわけではありません。映画には、「蘭方と漢方のそれぞれのいいところをやればいい」と言うセリフがありますが、太吉にとって一番大切なのは患者の命。蘭方を学んだのはおそらく、そのほうがより多くの患者の命を救えるのでは、と思ったからだと思います。

©「幕末ヒポクラテスたち」製作委員会