舞台との出会いと独立トラブル

 2002年、劇団☆新感線の舞台『アテルイ』を経験して大きな衝撃を受けた水野は、2005年にバーニングプロダクションから突如、独立する。その理由を次のように語っている。

「自分が映像で培ってきたお芝居の経験や感覚が、舞台では全く通用しなかったんです。それがもう新鮮で、とにかく舞台に出て芝居がうまくなりたい、と。でも、その方向は事務所のカラーとは決定的に違っていて、だったら一人でイチからやってみよう、ということで辞めたんです」(『週刊文春』2009年4月9日号)

(左から)見上愛、水野美紀(『風、薫る』公式Xより)

 テレビの仕事は捨てる覚悟だった。事実、水野のテレビ、メジャーな映画への出演は激減した。『踊る大捜査線 THE MOVIE3 ヤツらを解放せよ!』(2010年)でも出番は与えられなかった。

 テレビの仕事は激減したが、自身の言葉どおり、阿佐ヶ谷スパイダース、PIPER、ナイロン100℃など、名だたる舞台に出演し続けた。2007年には演劇ユニット「プロペラ犬」を設立。近年は脚本と演出も担当しながら精力的に公演を行っている。個人事務所を設立し、自身でメールをやりとりしながらマネジメント業務をこなしていった。余談だが、筆者はこの頃、水野に直接連絡して取材させてもらったことがある。

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ヘアヌードから日本刀アクションまで…挑戦続いた30代

 この時期は風変わりな映画の仕事も多い。白石晃士監督の『口裂け女』(2007年)では特殊メイクを施し、巨大なハサミを持った悲しきモンスター「口裂け女」を熱演。押井守総監修の実写映画『真・女立喰師列伝』(2007年)では西部劇風の世界で二丁拳銃を操る「バーボンのミキ」を演じた(監督は辻本貴則)。

 辻本監督の『ハード・リベンジ、ミリー』(2008年)は、荒廃した近未来を舞台に、夫と子を殺された主婦が仕込み刀と格闘術で仇を皆殺しにする低予算ハードバイオレンス映画。翌年には、同監督でゴア描写が進化した続編『ハード・リベンジ、ミリー ブラッディバトル』も作られている。

 香港で撮影した『さそり』(ジョー・マ監督/2009年)は、水野が宙吊りで拘束されたり、刑務所内で凄絶なリンチを受けたり、日本刀アクションを披露したりするのに、ストーリーがよくわからない珍品。ワイヤーを使ったスタントはスタッフがよそ見をしていて本当に危険だったという(『5時に夢中!』2025年8月6日)。園子温監督の『恋の罪』(2011年)は主役扱いで、ヘアヌードを披露し、自慰シーンもあるのに、出番がごくわずかという変な作品だった。