「怪演女優」として再びメインストリームへ

 日曜劇場『空飛ぶ広報室』(2013年)に出演するなどテレビの仕事も増え、映画『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』(2012年)で人気シリーズへの復帰も果たした水野が、本格的に再ブレイクしたのは2017年のこと。

 きっかけは鈴木おさむ脚本の“ドロキュン”サスペンスドラマ『奪い愛、冬』での「怪演」ぶりだった。特にキスを交わしている主人公たちに向かって「ここにいるよぉ~」と言いながらクローゼットから飛び出して高笑いするシーンは語り草に。

 水野は「それまで舞台で培ってきたものをもっと出してみようとも思ったんです」と演技のコンセプトを明かしている(「THE CHANGE」2025年10月28日)。舞台でのハイカロリーな芝居をテレビドラマに持ち込んで見事に成功。ドラマはカルト的な人気を得て、2019年には『奪い愛、夏』も制作された。

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(左から)水野美紀、早坂美海、上坂樹里(『風、薫る』公式Xより)

 その後もドラマ『となりのナースエイド』(2024年)で頼りがいのあるベテランのナースエイドを演じたかと思えば、『娘の命を奪ったヤツを殺すのは罪ですか?』(2025年)では娘の仇をとるために全身整形して若返る主人公を怪演した。

「若い頃の煩わしさから解放され、やりたいことが自由にできる」

 43歳で出産を経験したことも大きな転機になった。目の前の仕事に没頭していたこれまでとは変わって、社会との接点が増え、自分と家族に向き合い、人生を振り返ることも増えたという。

 水野はこれまでの人生を「ずっと迷っているというか、茨の道を歩いているイメージです」と表現する(「大人のおしゃれ手帖web」2026年3月11日)。その一方で、今は「若い頃の煩わしさから解放されて、やりたいことが自由にできると感じることが多いし、チャレンジしたいことも年々増えていっています」と力強く前を向いている(「OTONA SALONE」 2025年10月21日)。

 特技は今でも「回し蹴り」で、旋風脚の練習を日課にしている。年齢をまったく感じさせないが、逆に何歳の役柄でも演じてしまいそうだ。可憐な少女から口裂け女まで、どんな役柄にもチャレンジして自分のものにしてきた。

「我々の仕事のご褒美は、ギャラじゃなくて次の仕事ですから」(公式YouTube 2024年8月16日)。この言葉を地で行く水野美紀。次はどんな役を演じるのか、想像もつかないが、きっとすごいものに違いない。

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