日本の平和を担う約22万人の自衛隊員。その中で指揮官として現場を動かす「幹部自衛官」を目指し、防衛大学校に入校した松田小牧さん(1987年生まれ)は、同大学を卒業後、幹部候補生学校を中途退校した。
現在はフリーの編集者・ライターとして活動しつつ、出版社・月待舎の代表も務める松田さん。なぜ彼女は、道半ばでエリート自衛官への道を諦めたのか。
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松田さんが防大を選んだ動機は、経済的な事情と、純粋な知的好奇心だった。「死と隣り合わせの自衛隊に興味が湧いたんです。人は極限状態で何を思うんだろうって」と当時を振り返る。
母子家庭で金銭的な余裕がない中、衣食住が無償で提供され、学生手当まで支給される防大は、現実的な選択肢でもあった。
しかし、入校後の現実は厳しかった。当時、学生の約9割を男性が占めていた防大では、「女なんだからわきまえろ」「要らない」といった言葉を日常的に浴びせられたという。
「女子はお荷物なんだから」と言われたことも
とりわけ、松田さんが選択した陸上自衛官コースでは体力至上主義が顕著で、「女子はお荷物なんだから、もうちょっと自分のできることをやろうとしたほうがいいよ」と男子学生に言われたこともあった。
松田さんは、「なぜ女子生徒が必要とされるのか」を説明しない学校側に疑念を抱きつつも、徒歩行進中に重い銃を持てない女子が「お荷物」であることを、ひとつの現実として受け止めていた。毎日10キロ走り、筋トレを続けても評価されない日々の中、「女性であることは自衛隊においてマイナスではないかと強く感じた」という。
防大を卒業し、幹部候補生学校に進んだものの、ほどなくして退校を希望。女性自衛官から「陸自は30歳までは首から下だけど、30歳からは首から上だぞ」と引き留められたが、「辞めさせてください」と土下座で頼み込んだ。
10年間の沈黙を破った理由
そして防大卒業から10年後、防大OG・女性自衛官への取材をもとに『防大女子-究極の男性組織に飛び込んだ女性たち-』(ワニブックス)を出版。沈黙を破るきっかけとなったのは、2018年に任官して7年の女性の同期が自ら命を絶ったことだった。
「一人でも『あなたのおかげで楽になった』と言ってくれる自衛官がいるならば、行動しようと決めました」
時代の流れから厳しい指導が撤廃されたこともあり、“防大女子”たちの境遇は改善されつつあるという。それでも、彼女たちが少数派であることに変わりはない。
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さらに詳しいインタビューの全文は、
#1『「女子というだけで下に見られた」生理中の過酷な訓練、ナプキンは替えられず…“合格者5人”の狭き門を突破した“防大女子”が回想する「過酷な現実」』
#2『「これだから女学は」「わきまえろ」究極の男性社会に挑んだ19年前…エリート自衛官の道をあきらめた“防大女子”が「税金泥棒」批判に思うこと』
#3『「お前たちは男でも女でもない」髪をバッサリと切り、銃を手にして走り回る“防大女子”…それでも彼女が「命を捨てる覚悟を決める」ワケ』
#4『《男9女1の寮生活》恋に落ちないワケがない…元「防大女子」に聞いた、エリート自衛官をめざす若者たちの「普通ではない恋愛事情」』
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