女は男を立てる、年下の者は年長者を立てる、ご先祖を大事にといった価値観についても、細木はしばしば口にしている。

 細木がヤクザ的な気風に長く染まって、擬制血縁的な組織の人間関係に熟達していることは事実だが、彼女自身はおそらく男尊女卑論者でもないし、家父長制の信奉者でもないと見られる。あるいは男尊女卑の実践に際して、彼女だけを例外扱いにする論者でもあろうか。

 実際のところ、細木は女性が男性化する時代の中で、カッコよくその波頭に立つ女とも言えよう。つまりオジン化する女のヤクザ風バージョンが細木である。

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 細木には男や年長者を立てている気配はない。彼女自身が男であり、ボスなのだから、ことあらためて他の男を立てる必要はないと言えようか。細木は旧来の倫理道徳に従った方が人間関係がうまくいくといった世知に基づく技術論として、男や年長者を立てろと言っている。

誰が細木数子を育てたのか?

 細木数子を人としての品格ゼロ、低俗、恥を知らない女と決めつけることは易しい。だが逆に時代の持つ低俗性が細木を生み育てた一面がある。

 彼女の少女期は日本の敗戦とぶつかった。空襲で焼け野原になった街、スリと搔っ払いしか生きる道がなかった戦災孤児、米兵の袖を引く街娼、愚連隊やヤクザとなった復員兵や学生崩れの群れ――そういう時代を生き延びて細木の今がある。

時代と寝た女

 細木を受け入れる者の中には同じ時代をかいくぐって、細木に共感する者もいよう。細木が時代と寝た女であることはたしかである。

 彼女はどう生まれ育ち、ついには「視聴率の女王」にまで成り上がったのか、詳細に跡づけることが本書のテーマである。

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