その意味で、核融合にどれだけ資金や時間、人材、注目度を投じるかは、それらの資源でより安価かつ迅速に、そしてはるかに確実な形で実現できるであろう他の解決策と比較し、慎重に検討する必要がある。

過去50年に起きたエネルギーシステムの変化

〈ロビンス氏は1970年代半ば、先進的なエネルギー戦略「ソフト・エネルギー・パス」を提唱した。化石燃料や原子力の大規模発電所に依存した集中型のエネルギーシステムを批判し、エネルギー利用の効率化と再エネの普及、分散型システムによって経済成長を成し遂げられるとするその論考は、当初「非現実的だ」といった批判もあったが、各国のエネルギー政策に大きな影響を与えた。〉

森ビルが運営する営農型太陽光発電所(茨城県筑西市)。「日本は再生可能エネルギーの資源が極めて豊富」とロビンス氏は語っている ©時事通信社

ADVERTISEMENT

――ソフト・エネルギー・パスの提案から50年が経ちました。過去50年間でグローバルなエネルギーシステムに起きた主な変化を3つ挙げるとすれば何でしょうか。

 第一に、エネルギー効率が2倍以上に向上した。

 米国では1975年以来、約3倍にまで高まっている。私の1976年の論文では、今後50年間でGDP(国内総生産)1ドルを生み出すのに必要なエネルギーは72%削減できると述べたが、実際には49年間で65%削減された。2025年のデータは数週間後に出るが、50年間ではおそらく67%程度の削減になる。もしエネルギー効率がここまで向上していなければ、社会や経済の仕組みはとっくに破綻していただろう。

※この続きでは、グローバルなエネルギーシステムに起きた変化について、さらに語られています。

※約6500字の全文は、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」と「文藝春秋」2026年5月号に掲載されています(エイモリー・ロビンス「AIと戦争の時代のエネルギー政策」)。

次のページ 写真ページはこちら