米国の非営利団体「ロッキーマウンテン研究所」の共同創設者、エイモリー・ロビンス氏は1970年代半ばに再生可能エネルギーの台頭をいち早く指摘した物理学者として知られる。このたび来日したロビンス氏に、科学ジャーナリストの須田桃子氏が、エネルギーを巡る現状を訊いた(このインタビューは今年3月19日に実施されました)。
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核融合の商業化は期待すべきではない
――近年、核融合発電への期待が高まり、関連スタートアップや投資が増えています。核融合発電の実現可能性をどう見ていますか。将来のエネルギー政策の中でどのように位置づけるべきでしょうか。
私たちには1億5000万キロ先に非常によく設計された核融合炉、すなわち太陽がある。太陽のエネルギーを収穫する方が、その技術を模倣するよりずっと簡単だ。今日の市場価格における再エネと蓄電の安さを考えると、たとえ核融合炉の作り方がわかったとしても、そのビジネスケース(事業計画)の実現可能性は低い。
地上の核融合炉は核分裂炉とは細部こそ異なるものの、突き詰めれば(核融合で生じた熱で)水を沸かしてタービンを回すという、やたら手の込んだ発電方式にすぎない。今の競争環境で、そのコストを正当化できるとは思えない。
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〈ロビンス氏は、半世紀にわたり日本を含む70カ国以上の大手企業や政府に対して助言を行ってきた。2009年に米タイム誌による「世界で最も影響力のある100人」の1人に選ばれたほか、ルー・プラネット賞、ベンジャミン・フランクリン・メダルなど受賞多数。著書・共著に『自然資本の経済』(日本経済新聞社)、『新しい火の想像』(ダイヤモンド社)などがある。〉
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――では、政府は核融合研究への投資を止めるべきでしょうか。
物理学者として、科学実験としての核融合は非常に興味深い。しかし商業的に競争力のある電力供給をもたらすことを期待すべきではないと思う。
