「ツイフェミ」がきっかけで女性が苦手に
横尾さんを初めて取材したのは、2020年の夏。入社1年目の若手社員がコロナ禍のテレワーク、リモートワークにおいて、どのように仕事に取り組み、また戸惑いなどを感じているのかを探るのが狙いだった。彼は当時から人事部に所属していた。
「逆に、助かって、います……」
ささやくような声で、いっこうに視線を合わせようとしない。入社直後からコロナ禍に見舞われ、上司や先輩とのコミュニケーションに不安はないかという質問の答えが、それだった。緊張していたせいもあっただろうが、マスク越しでも対人関係が苦手そうな様子が伝わってくる。
「助かっているとは、どういうことでしょうか?」
「そ、そうですね……。入社してから、職場の人たちとの人間関係をどう築いていけばいいのかわからず、少し悩んでいたので……今のように在宅勤務中心で、週に1日か2日だけ出社するほうが、面倒じゃないというか……」
「職場の人間関係で悩む原因は何か、教えてもらうことはできますか?」
「あのー……女性とやりとりするのが苦手で……同じ人事部で入社年次が少し上の女性の先輩たちの『しっかりやってね』『これ任せて大丈夫だよね』などという念押しがどうも苦手で……悩んでいたら、ちょうどタイミングよくコロナ禍になって、常に顔を合わせなくてもよくなったので……」
「具体的にどういうところが苦手なんでしょうか?」
「実は……そ、そのー、大学時代にさかのぼってしまうんですが……」
たどたどしい話し方ながら、懸命に説明してくれた、女性を苦手になるきっかけとなった出来事が、学生時代に女性たちから受けたツイッター(現X)での攻撃だった。
「大学に入学して間もない頃、何気に、『女性は得だな』とつぶやいたら……あのー、反論だけでなく、誹謗中傷の嵐で……。最初は自分の考えをコメントとかで返していたんですが、怖くなってアカウントを削除しました。それがトラウマみたいになって……日常生活でも女子学生とは距離を置くようになったんです。SNSでなぜ、相手の考えを聞こうともせずに、同じ意見の人ばかりが集まって攻撃するのか。本当につらかったです……。そ、それから……あっ、いや……」
フェミニズム本来の思想や目的を超え、男性への非難が過激化した「ツイフェミ(ツイッター・フェミニズム/フェミニストの略語)の影響もあると考えられた。ソーシャルメディアの負の側面であるエコーチェンバー現象の被害者であったともいえるだろう。
女性とのコミュニケーションが苦手になった要因について、ほかにも話したいことがあるように見受けられたが、この時は質問しても答えてはくれなかった。その出来事が冒頭で紹介した大学3年時のインターンシップでのつらい経験だったのだ。
