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「上手くいったら抱かしてやる」
温泉がなく客に不人気だった1960年1月中旬、カウは日本閣で雑役夫として働いていた前科3犯の大貫光吉(同36歳)に殺しを請け負わせることを思い立つ。
大貫はカウの食堂にも頻繁に顔を出し、そのたびカウにちょっかいを出していた。そんな下心を逆手に取り、ある夜、カウは大貫に「鎌輔の妻を殺っておくれ。手間賃は2万、上手くいったら抱かしてやる」と迫る。
さすがに大貫は「そんなことはできねえよ」と驚いたが、「人間だと思わず、犬か猫だと思えばできる」と説得され、殺しを引き受けてしまう。
1960年2月8日19時半ごろ、大貫は鎌輔があらかじめ鍵を外したままにしていた日本閣の表戸から中に侵入、居間にいたウメさんの首に麻紐を巻き付け絞殺。鎌輔も含め3人でボイラー室の床下に遺体を埋めた(後に、ボイラー室に奥さんが埋められていると噂になり、裏の山林に埋め直した)。
邪魔者を消したカウは日本閣に乗り込み、女将として采配を振るい始める。が、まもなく登記所に行き鎌輔に騙されていたと気づく。改築費として200万円を注ぎ込み自分名義になっているはずの新館が、旧館と共に競売にかけられていたのだ。