さらに教皇は「戦争という狂気」「ドローン」「殺戮行為」「国際法の絶え間ない違反」といった言葉を使い、戦地にいる「子供たちの声に耳を傾けよう!」と訴えた。

 教皇の言葉が自分に向けられていることを知ったトランプは、4月12日の夜に教皇を攻撃する長文をポストした。そこには「俺は教皇より、教皇の兄のルイ(MAGAを公表)のほうが好きだ」などに加え、「彼は教皇候補のどんなリストにすら載っておらず、アメリカ人であるという理由だけで教会に推されたに過ぎない」「もし俺がホワイトハウスにいなかったら、レオはバチカンにいないだろう」と、傲慢と侮辱の限りを尽くしている。

 翌日、このポストについて記者に質問されたトランプは「教皇は間違っている」「謝罪するつもりはない」と言い切った。

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 教皇も11日間にわたるアフリカ訪問に向かう教皇専用機の中でトランプのポストについて質問され、以下のように答えている。

「私はトランプ政権を恐れてはいない」

「私は今後も戦争に強く反対し、平和を促進し、国家間の対話と多国間主義を推進して問題の解決策を見出していく」

激しい非難を浴びた“AI画像”

 トランプは教皇批判の長文ポストとほぼ同時に、自身をキリストとして描いたAI画像もポストした。画像はキリストを思わせる衣装を着たトランプが黄金の光を発しながら病人(白人男性)の額に手を当て、病を癒している。その周囲を星条旗、自由の女神、戦死したと思われる米兵、戦闘機、アメリカの国鳥である白頭鷲などが取り巻いている。

トランプ氏がトゥルース・ソーシャルに投稿し物議をかもしたAI画像(現在は削除済み)

 この絵はトランプにとって痛恨のミスとなった。人間が自身を神として描くのは大いなる冒涜であるとして、信仰も支持政党も問わず、全方向からの激しい非難を浴びたのだった。

 トランプの最も強力な支持層がキリスト教の福音派であることは周知だが、アメリカにはカトリック信者も多い。米国の成人人口のうちキリスト教徒は62%を占めるが、教派別では福音派の23%に次いでカトリックが19%となっている。

 加えてレオ14世は史上初のアメリカ人教皇だ。当然ながら祖国アメリカの文化や社会を知っており、その政治動向にも強い関心を持っている。祈りはラテン語で行うことが多いが、アメリカのメディアにマイクを向けられれば英語で答え、メッセージはアメリカにダイレクトに伝わる。また、教皇の発言はカトリック系のメディアを通して全世界14億人のカトリック信者にも即座に伝えられる。

初のアメリカ人ローマ教皇であるレオ14世 ©dpa/時事通信フォト

 そもそも教派以前の問題として、自身を神にたとえたことをトランプは激しく批判された。当初トランプは、「絵の中の自分は神ではなく、医師だ」と苦しい言い訳をしたものの、翌日に画像を削除した。トランプはこれまで自分のポストをどれほど批判されても削除したことはなく、今回のキリスト画へのバッシングの強さが分かる。