のちに「関西で歌舞伎を育てる会(現関西・歌舞伎を愛する会)」公演が朝日座で行われ、それから中座、そして今の松竹座で打てるようになりました。亡き(十八世中村)勘三郎君や(十世坂東)三津五郎君が汗だくになって勤めていたのが懐かしいですね。ですが中座は車が付けられず、また駅からも遠いので雨が降ったら歩くのが大変で、お客様にはかなり不便な場所にありました。当時は映画館でした松竹座が地下鉄の駅からも御堂筋からも近いので、ここで歌舞伎が打てるようになればという夢をずっと抱いていましたから、実現した時の喜びは大きかったですねえ。
歌舞伎が誕生したのは上方ですからね。ですからどういう形にしろ、もう一度道頓堀に歌舞伎を打てる劇場が出来ることを願っています。
――「大阪松竹座さよなら公演」で4月は『菅原伝授手習鑑 寺子屋』の松王丸を幸四郎さんとのダブルキャストで、5月は『近江源氏先陣館(おうみげんじせんじんやかた) 盛綱陣屋(もりつなじんや)』の佐々木盛綱を単独で勤められます。
仁左衛門 この2カ月の公演、何を演ろうかと色々考えました。松王丸は松竹座での「十五代目片岡仁左衛門襲名披露興行」(1998年4月と5月)の4月に勤めた役です。これまで幾度となく演じてきましたが、ここ10年は演じていません。けれども松竹座への思いから幸四郎さんとダブルキャストにしていただいて、この「寺子屋」を選びました。この10年の間に身についた物がどのようになっているか、自分でも楽しみにしています。
※この続きでは、二間の木造アパートで暮らした新婚時代を片岡仁左衛門さんが振り返っています。約6000字の全文は、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」と「文藝春秋」2026年5月号に掲載されています(片岡仁左衛門「二間のアパート時代が今に生きています」)。
※「文藝春秋PLUS」では歌舞伎俳優の肉声記事を多数掲載しています。
坂東玉三郎「少年シンイチが女形になるまで」
中村鷹之資「父富十郎の教育論」
尾上右近「曾祖父の懐中時計」
出典元
【文藝春秋 目次】東京極秘対談 ティール×トッド 世界は終末を迎えているのか/池上彰×佐藤優 “暴れ獅子”トランプと“女豹”高市の生きるか死ぬか/官邸官僚の第二の人生
2026年5月号
2026年4月10日 発売
1300円(税込)

