車弄りを趣味にする人たちのなかでも、「見せるためのカスタム」に傾倒する者の情熱には目を見張るものがある。「第十一章 赤鬼富岡杯 生涯現役伝説」の出展者たちを取材すると、愛車への執着の裏に、それぞれ驚くほど人間臭い事情が見えてきた。
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ヴェルファイアに約300万円を注ぎ込んだ「ぱやっ」さんは、医療関係の職場に勤める女性だ。
8年前にファミリーカーとして購入した車を、アルヴェルのミーティングに「ふらっとひとりで」参加したことをきっかけにカスタムし始め、一作年はイベントのレディース部門でグランプリを獲得した。「旦那さんの趣味ですか?」と聞かれることが多いというが、「私だよ、弄っているのは」と声を大にして主張する。
夫は黙認状態だが、成人済みの息子は車好きで、帰省のたびに「ここ弄ったでしょ」と気づいてくれる。「髪型を変えたことに気づいてもらえるよりも、私としては嬉しい」という言葉が印象的だ。
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一方、コーティング屋を営む「ゆうき」さんのAZワゴンは、複雑なパターンと繊細なラメで装飾されたボンネットが目を引く過激な一台だ。
再々婚した妻からは当初「わざわざお金をかけてこんな風にする意味がわからない」と呆れられたが、店の看板車としてイベントを一緒に回るうちに理解を得ていったという。今では「ちゃんと営業かけてこい」と背中を押してくれるほどの応援者になった。
「この車はまだ弄りたいので、イベントを回りながら『次はここ弄っていい?』と妻を説得できたらいい」と笑う。
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「車はノーマルが一番」と言い切るカスタムショップオーナーの流儀
25年前にカスタム系のショップを始めた小田川さんは、人生で車に使った金額が「4億とか5億」になるというベテランだ。
ショップのデモカーとして10年かけて仕上げたセルシオは、全身ワンオフパーツで武装し、数々のイベントでグランプリを獲得している。それでも本人は「車はノーマルが一番。ウチらはわざわざ、それをカッコ悪くしているのが現実」と言い切る。
改造車のイメージが悪いからこそ、マフラーは車検に通るもの、エアサスで地面を擦らないといった節度を徹底している。「決まった制限のなかで、どこまでできるか、という方が燃える」という言葉に、長年この世界で生き続けてきた者の矜持がにじむ。
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建築系の社長として働く「ぺぇ~」さんは、「黒紅すたいる」をテーマにDIYで仕上げたステップワゴンをイベントに持ち込むが、本人自身もキャンギャルさながらのコスプレ姿で登場する。
「一人くらいこういうのがいた方が、見ている人も面白くないですか?」と語り、いずれはキャンギャルとして東京オートサロンに呼ばれたいとまで言う。
車よりも自分自身を派手に仕上げるその姿勢に、見せることへの純粋な喜びが凝縮されている。
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