降圧剤は認知症発症リスクを下げる?

A え! 降圧剤飲んでもそんなに血圧が高いの?

Q まさか。飲んで上が130mmHg、下が85mmHg。オイラの主治医は「降圧剤を服用していると認知症の発症リスクが下がる」と言ってましたよ。

A たしかに、特に高血圧を発症しやすい中高年には、降圧剤による治療が有効だ。米国・国立衛生研究所の研究(19年)では、認知症ではない55歳以上の3万1090人を調査したところ、降圧剤を使用した人は使用していない人に比べて12%、認知症の発症リスクが低下していた。アルツハイマー型認知症だけを見ると16%も下がっていたんだ。

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Q ほら、やっぱり。降圧剤は認知症予防にも有効でしょ♪ オイラは生涯、降圧剤を飲み続けるつもり。

A 問題はまさにそこ。ズバリ、降圧剤依存にある。

Q 降圧剤依存!

A 65歳以上の介護施設入所者約1万2000人を対象に行った米国の研究(24年)では、降圧剤を継続して飲み続けたグループでは、12.1%の人に認知機能の低下がみられたのに対し、降圧剤を減らしたグループでは10.8%に留まった。つまり、高齢者になっても降圧剤を飲み続けることは認知症リスクの一つなんだ。

Q 降圧剤を飲めと言ったり、減らせと言ったり……。でもなぜ、高齢者にとっては降圧剤が認知症のリスクになるの?

A そもそも高齢者になると、それまで高かった血圧が自然と下がる人が意外に多いことが一つ。

Q 院長の患者さんも?

A うん。仕事や子育てが落ち着いてストレスも減るし、暴飲暴食の機会も減るから血圧は下がりやすいんだ。それに気づかず、オジ記者のように降圧剤をお守り代わりに飲み続けてしまう人が一定数いる。すると、「過降圧」といって、血圧が下がり過ぎて逆に低血圧になってしまうんだ。

過降圧以上に問題なのは……

Q 血圧が低くなるのは、脳にいいんじゃないの?

A 血圧は、高すぎるのもリスク、低すぎるのもリスクだ。血圧が下がり過ぎると、脳への血流が不足して認知機能が低下すると言われている。中年期に高血圧(140/90mmHg)だった4700人を24年追跡調査した米国の研究(19年)によると、老年期に入って低血圧(90/60mmHg)になった人では、認知症の発症リスクが62%も増加している。高血圧から低血圧への「変化」が、認知症予備軍(MCI)の発症リスクを高めることも指摘されたんだ。

Q 問題は急激な「変化」なのね。

A その通り。

Q だとしたら、何歳までに降圧剤とオサラバすればいいの?