「戦車」と「機動戦闘車」は別モノ?
というのも、10式戦車の2世代前の74式戦車は105mmライフル砲と機銃2門を備え、無限軌道で「戦車」と呼ばれているが、全く同じ武装でタイヤ履きの16式MCVは「機動戦闘車」と呼ばれているのである。
日本で戦車と呼べるのは、無限軌道の足回りと完全密閉された砲塔と大口径砲を備えた車両に限られるようである。
ちなみに戦車が英語で「タンク」と呼ばれるのは、第1次大戦当時、開発国の英軍で機密保持のため、マーク1戦車を見た者に「これは水槽(水タンク)だ」と誤魔化していたからだという。
映画やアニメにもたびたび登場
轟音とともに土煙を、ときには雪煙を巻き上げ、悪路や瓦礫をものともせず、踏み進め、ときには大口径砲を咆哮させる様は、まさに地上最強の兵器の名にふさわしい。『バルジ大作戦』や『パットン大戦車軍団』などのハリウッド大作から『馬鹿が戦車でやって来る』などの日本のコメディーまで、たびたび戦争映画の主役になるばかりか、ゴジラ映画にも出演するくらいの人気である。
特に最新の10式戦車は、事故の前までは駐屯地祭などに引っ張りだこ。砲塔に特製のゴンドラを装着しては地域住民や子供らを乗せ、グラウンドを土煙をあげ走り回る。アニメ『ガールズ&パンツァー』ともタイアップし、聖地の茨城県・大洗では、本物の自衛隊特別儀仗隊や『ガルパン』に出演していた声優やファンらとともに、おおいに盛り上がっていたのである。
しかし、そんな子供らに人気の戦車が現代になると、重くかさばる戦車不要論が飛び出すようになる。石破茂前首相が防衛相の時代には、冷戦時のソ連の侵攻に備えて900両あった戦車が600両弱にまで減少。あげく本州には戦車の実動部隊がなくなり、今回事故に巻き込まれた九州の西部方面戦車隊にも10式戦車のみだが2中隊分、数十両しかなくなった。
さて、ここで今回事故の原因となったといわれる120mm滑腔砲弾や、あまり知られていない戦車の実状についても、専門家としてでなく、その威力と脅威を紛争地でまざまざと経験したカメラマンとして述べさせていただきたい。


