GW直前! イベント目白押しのリフレッシュ期間とはいえ、飲み過ぎ、食べ過ぎには要注意。専門医が肝臓に脂肪をつけない飲酒術を解説した「週刊文春」記事を特別配信します。(初出:2026年1月1日・8日号)
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「忘年会に新年会……イベントが盛り沢山のこの時季。楽しくてついつい飲み過ぎ&食べ過ぎてしまうあなたの肝臓は、静かに悲鳴を上げています。放置すると、肝臓に脂肪が溜まってフォアグラのような“脂肪肝”になってしまいます」
そう警鐘を鳴らすのは、肝臓専門医で、長野県の佐久市立国保浅間総合病院の尾形哲医師である。
「肝臓は体の中で最も大きな臓器。アルコールや薬など、有害物質の分解・解毒から栄養の貯蔵、脂肪燃焼、タンパク質の合成など、体内で数百種類以上の仕事を休みなく処理しています」
尾形医師は同病院の救急医療部長兼外科部長として肝硬変や肝臓がんの治療にあたっている。一方、2017年に開設した「スマート外来」では、肝疾患の初期段階である脂肪肝や、肝疾患の原因となる糖尿病や肥満改善のための生活指導に尽力している。
「脂肪肝とは、肝臓の細胞に中性脂肪などの脂肪が過剰に蓄積された状態です。いくつか種類がありますが、お酒の飲み過ぎによる脂肪肝は『アルコール性脂肪肝』と呼ばれます」
家族や友人たちと楽しい時間を過ごせる反面、痛飲による二日酔いや食べ過ぎは避けたいところである。
「大量に飲酒すると、肝臓はアルコールの分解を優先させるため、脂肪を燃焼させてエネルギーとして使う機能が低下。体内に中性脂肪が溜め込まれ、肝臓にも脂肪が蓄えられていきます。
肝細胞内に蓄積した脂肪が30%を超えると、腹部超音波検査などで脂肪肝と診断されます。過剰飲酒者(1日の純アルコール摂取量が60g以上)の9割以上が脂肪肝と認められます」
脂肪肝が悪化すると肝硬変、肝臓がんなど命にかかわる肝疾患の発症リスクが上昇してしまう。
東京都医学総合研究所によれば、国内の肝硬変の患者数は30万人以上と推計されている。国立がん研究センターの統計によると肝臓がんの罹患者(21年)は3万4675人。死亡者(厚労省「人口動態統計」24年)は2万2465人だった。
生活習慣病由来の脂肪肝も急増
「沈黙の臓器」と呼ばれる肝臓は、倦怠感や食欲不振、黄疸などの肝障害の症状が出るまで自覚症状はほとんどない。肝疾患は静かに命を蝕む怖い病気なのである。
一方で、「自分はお酒をあまり飲まないから大丈夫」と早合点するのは危険だ。
「この十数年で急増しているのは、肥満や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病に由来した脂肪肝です。以前は『非アルコール性脂肪肝』(NAFLD)と呼ばれましたが、現在は『代謝機能障害関連脂肪性肝疾患』(MASLD)という名称が推奨されています。国内の研究では、日本人のMASLD罹患者は2025年に成人の約3人に1人、40年に約45%に達すると予測する報告があります」
MASLDの主な原因は糖質の過剰摂取だ。
「脂肪肝の2大原因は、お酒と糖質の過剰摂取です。特に、代謝が落ちて内臓脂肪がつきやすい40代以降、MASLDの罹患者が増加します。ただし、肝臓の脂肪は皮下脂肪や内臓脂肪よりも落ちやすい。正しい飲食の方法を知ってさえいれば、肝臓から脂肪を落とすことも可能です」

