砲塔ごと吹き飛ばされたロシア軍の戦車

 さらに4年前、2022年ウクライナの前線では、戦車砲の暴発の威力をまざまざと見せつけられた。

 首都・キーウに続く高速道路上で、アメリカがウクライナ軍に供与したジャベリン携行式ミサイルにより破壊された、ロシア軍の戦車を間近に見た時のことである。

撮影=宮嶋茂樹
撮影=宮嶋茂樹

 射程4キロと言われ、目標直前でホップアップし頭上から降る「トップ・アタック・モード」で砲塔上部に命中したジャベリンは、車体底部に向かって何千度の炎を巻き上げ、車体底の弾薬庫を誘爆させる。

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 かのウクライナの地では、砲塔ごと吹き飛ばされたT-72戦車を数多く見てきた。無論、その中に人間がいれば助かる余地はない。

 実は、自衛隊でもT-72戦車の弾薬庫が車体底にあるというのは周知の事実で、砲塔が「ぴょこん」と高く吹き飛ぶその様から、「びっくり箱」というニックネームが付けられている。その事実を知ったのは、もう少し後のことである。

自衛隊の戦車事故が突きつけたもの

 今回の10式戦車の事故は、日本政府が戦後初めて踏み込んだ殺傷力のある武器輸出に不安を感じさせる、その要因の一つとなったのではないか。それは、世界に戦争を巻き起こす「死の商人」という非難をうけるという不安ではない。本当に自国民を安全安心に守れる武器になってくれるかという、一抹の不安である。

撮影=宮嶋茂樹

 先述したように、我が国は幸いにも81年にわたり戦火に(まみ)えたことはない。その一方、我が国が軍事同盟を結ぶアメリカは実戦経験豊富であり、今もホルムズ海峡で臨戦態勢。日本が戦火に巻き込まれることがなかった81年間も、実戦を通じてあらゆる武器を進化させてきたのである。

 だから日本も、アメリカ製の武器を信頼に足ると信じて買い続けているのである。

 しかし、アメリカが誇る武器の代表格であるM1戦車は、信用度だけでなく、その動力も優れている。