年金受給に世代間格差はあるのか? 若者は本当に損をしているのか? 『知らないと損する年金の真実【改訂版 2026年新制度対応】』(ワニブックスPLUS新書)より一部抜粋し、その真実に迫る。(全3回の1回目/#2を読む、#3を読む)
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世代間対立を煽るメディア
これも比較的以前からよく言われていることです。「おじいちゃんの世代は年金をたっぷりもらっているけど、僕らの時代にはきっと年金なんかもらえなくなるに違いない」とか「60歳以上の人は“逃げ切り世代”だけど僕らは絶対無理だよね」といった具合に世代間で大きな不公平が存在するということが話題になります。かつてテレビの番組などでは、年代別に払ったお金と受け取るお金を面白おかしく漫画で棒グラフにして、いかに若い人が損をしているか、ということをこれでもかとばかりに見せていました。
しかしこれは、かなり悪意に満ちた表示だと思います。数字自体は全く嘘ではないでしょうが、いろんな数字を都合良くピックアップして見せている可能性が高いからです。
たとえばがん保険の広告で「日本では2人に1人ががんに罹る時代です」と言われますが、これはあくまでも生涯罹患率の話で、そのほとんどは70歳以上の人です。国立がん研究センターの「がん情報サービス」サイト(※1)によれば、2021年で40歳の人が向こう20年間に罹患する確率は男性は6・5%、女性は10・7%、70歳の人でも向こう10年間で罹患する割合は男性は30・7%、女性は15・9%となっています。そして80歳以上の人がそこから罹患する割合が男性54・0%、女性30・0%ですから、現実には2人に1人ががんになるというのは80歳以上の人の話だと言ってもいいでしょう。
後ほど、年金保険料の負担と年金支給額の関係を解説しますが、がん保険の広告と同様に数字自体は間違っていなくてもその利用の仕方でとんでもない誤解を招きかねないということが起こり得ます。
これはとても大事なことなので、これから先も繰り返し言いますが、公的年金で大事なことは「できるだけ多くの人が制度に参加し、その制度を支える」ということなのです。にもかかわらず、マスメディアがこうした「世代間対立」を煽るような番組を作っているのは残念でなりません。
実際にどうなのかを見てみよう
では、実際に若者は払い損なのかどうかを数字で検証してみましょう。図6をご覧ください。これは、それぞれの世代において自分が負担する保険料と年金給付額がどのようになっているかを一覧表にしたものです。このデータは平成26年の「財政検証結果レポート」に記載されていたものを私が抜粋して作り並べ替えたものです。
現在働いている人の9割は給与所得者(サラリーマン)なので、サラリーマンが加入している厚生年金を例に挙げて見てみましょう。ここで言う年金給付額は、年金保険料を払い終わった時点の年齢(当時は多くが60歳です)からの平均余命までの合計額で計算をしています。




