年金の受給開始年齢を遅らせると、国は得をするのか? 『知らないと損する年金の真実【改訂版 2026年新制度対応】』(ワニブックスPLUS新書)より一部抜粋し、その答えを探ると…。(全3回の2回目/#1を読む、#3を読む)
◆◆◆
国は受給開始年齢を遅らせたい?
年金の支給開始年齢は65歳ということはよく知られています。もちろん誕生年月日によっては65歳よりも早く支給開始される人たちもいますが、これもあと数年経てば以後は全て65歳からの支給開始となります。
ただし、これは支給する側からの話であって、受け取る側、すなわち受給を始める時期というのは割と柔軟な設定になっています。具体的に言えば60歳から75歳まで、15年間の間、いつでも好きな時期に受け取り始めることができるようになっています。
前回の改正で受取開始時期を5年広げたのですが、この措置についても多くの誤解があるようです。「年金の支給開始年齢をいずれは70歳まで遅らせるようにするための下工作だ」とか「選択肢を広げるというけど、結局遅らせた方が国にとっては有利だからだ」といったようなコメントが雑誌の記事やSNS等でも散見されます。しかしながら、これは全くの誤解です。
まず、年金支給開始年齢の引き上げについてですが、これは今のところはまずあり得ないだろうというのは歴史を見ればわかります。
厚生年金の支給開始年齢は、1944年の時点では男女共に55歳でした。それが改正されたのは1954年で、この時は男性だけで、55歳から60歳までを1957年から16年間かけて引き上げていきました。この引き上げが完了してから16年後、1989年の改正で男女共に支給開始年齢を65歳にすることが決まりましたが、実施時期はまだ決まっていませんでした。1994年にようやく定額部分を2001年から12年かけて実施(女性は2006年から12年かけて実施)、報酬比例部分は2000年の改正で2013年から12年かけて(女性は2018年から12年かけて)65歳にすることが決まったのです。



