Pick UP(1)『コラテラル』

 

 タクシー運転手のマックス(ジェイミー・フォックス)は、勤続12年の腕利きドライバー。ロサンゼルスの道を知り尽くしています。そんな彼を見込んで朝までの貸し切りを申し出てきたビジネスマン風の乗客ヴィンセント……が、トム。実はプロの殺し屋で、そのミッションは一晩で5人のターゲットを始末すること。マックスは思いがけず犯罪の片棒を担ぐ羽目になってしまう。完全に災難ですね。

 当時42歳のトムは“冷酷な殺し屋”の役作りで、グレーヘアに無精ひげスタイル。これがたまらなく渋い! 大スターのトムだから、ではなく、リアルな40代男性の色気的な?(笑)

 クールでありつつ、ターゲットをまっすぐに追い詰める姿にはターミネーターのような迫力も。でも実は、ミッションが計画通りに進まずに動揺しているし、心優しきマックスとのやりとりで心は揺れている。それを必死に隠そうとするヴィンセント。その人間味を、トムが繊細な演技で表現しています。そう、大胆にして繊細! トム主演だと思うと、つい派手なアクションに期待しがちですが、本作の場合は、人物造形の深さこそが名作ポイントなのかも。

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 とはいえ、アクションもキレッキレ。電車の車体に飛びつく場面は、「ミッション~」シリーズを彷彿。また、ナイトクラブのシーンもいい。人で溢れたフロアでマックスを守りながらも、しっかりターゲットを始末。スタイリッシュな演出も◎。

Pick UP(2)『レインマン』

 

 トムが演じるのは、父の遺産を一人占めするため自閉症の兄を施設から連れ出す自分勝手な弟。そんな金の亡者的な彼が、性格も境遇も正反対の兄との交流を通じて、少しずつ人間らしさと優しい笑顔を取り戻していく、という物語。

 見どころは兄役のダスティン・ホフマンの神がかった演技! なのですが、喜怒哀楽に富んだトムの演技も実にいいんです。特に“レインマン”の正体が分かった時、またラストシーンの表情は必見! 「実は演技派なんだよなぁ」と、その原点を再確認しました。

 お気に入りは兄弟でカジノに乗り込むシーン。レイバンのサングラスにアルマーニのスーツで決めた姿は、これぞハリウッド映画! ちなみにトム唯一の弱み(?)である低身長、相手が165cmのホフマンだと気にならないという発見も……。

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