経済学者・成田悠輔氏がゲストと「聞かれちゃいけない話」をする対談連載。第13回目のゲストは、歌い手のAdoさんです。Adoさんの歌声は、なぜ多くの人を惹きつけるのか。その秘密に迫りました。(構成・伊藤秀倫)

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Adoさんの声はなんで人を惹きつけちゃうんですか

 成田 「AI Ado」の声分析もありましたが、Adoさんの歌声の特徴って何だと思われますか?

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 Ado 私の声は子どもっぽくもありますし、でも、自分の実年齢よりはもうちょっと老けている声にも聞こえる。言ってしまえば変ですし、街中でBGMとして、人がリラックスしている時に私の声がかかってきたら、本当に嫌な気持ちになると思っていて。何となくですが……。

Adoさん

 成田 うっとり聴き入っちゃう美声みたいなのとは違いますよね。明確に。摩擦がある。

 Ado そうですね。朝の目覚めの時にピッタリかと言われたら、「なに!?」みたいな感じで飛び起きちゃうぐらいの、いろんな意味で一発の衝撃がありますし、くどくもありますし。いい意味でも悪い意味でも粗があり、泥臭い感じ。意外とそういうのを意識して歌う時もあります。

 成田 粗や泥や癖がある声って、ほとんどはただ聞きづらかったり気持ち悪かったりで終わっていくと思うんです。なのにAdoさんの声はなんで人を惹きつけちゃうんですかね。何か魔法があるんでしょうか。

成田悠輔氏 ©文藝春秋

 Ado 何でしょうね(笑)。好き嫌いが分かれやすいけれど、本当にたくさんの皆さんに私の歌を聴いていただけております。

 ただ私の感覚だと、この声だからこそ思いきってやっているところが、誰かにとっては気持ちいいのかなと思います。もちろんきれいに裏声重視で歌い上げようとしたこともあるのですが、ある日、がなり声にチャレンジした時に、こういう系統のほうが自分もやっていて気持ちがいいし、面白いなと感じまして。

AdoさんのYouTubeチャンネル登録者数は、917万人

 私は人間という生き物がきれいな生き物だとは思っていなくて、人間には必ず人それぞれの粗がありますし、不完全さがありますし、生命としてのそういう生々しさがあります。私の声の中にもそういう粗とか不完全さがあって、それをさらに表現としても引き出しているというか。少なくとも歌っている時はそれを体現したい。私は私のままという、粗とか泥臭さというものを、私だと思っている節があるので。それを体現しているからこそ、誰かを響かせている部分はあるのかなとは考えたりしますね。