実際は「電子書籍リーダー」としてほとんど使われず……

 もっとも実際には読書用途よりも、ランダムアクセスが可能なCD-ROMの長所を生かした電子辞書としての用途が主でした。初代に当たる本製品は「現代国語辞典」「ニューセンチュリー英和辞典」「新クラウン和英辞典」「コンサイス外来語辞典」「ワープロ漢字辞典」と計5つの辞書を収録した電子ブックが添付されており、また2000年に発売されたシリーズ最後のモデル「DD-S35」では、電子辞書としての訴求がほぼすべてとなっていました。

シリーズ最後のモデル「DD-S35」で画面を表示したところ。モノクロながら表示は鮮明

 本製品はその後、交換可能な8センチCD-ROMを廃止し、コンパクトな電子辞書の専用機へと移行していきますが、それも数年後には他社との競争に敗れて販売を終了し、姿を消しています。電子辞書という新しい市場を生み出すきっかけとなった製品ですが、実売価格は初代の「DD-1」が5万8000円、最後の「DD-S35」も4万3800円とかなり高価で、実にチャレンジングな製品だったといえます。

保存できる冊数は「わずか1冊」 それでもNECの端末は、意外と現代的?

 続いて紹介するのはNECが販売していた「DB-P1」。

ADVERTISEMENT

NEC「DB-P1」。発売は1993年。現行のタブレットと同じストレートタイプ。筆者所有の個体は画面が焼き付いてしまっています

 本製品が発売された1993年当時は、NECのパソコン「PC-98」シリーズが高いシェアを占めていました。そのNECが手掛けた本製品は、PC-98と互換性のあるフロッピーディスクドライブを用い、フロッピー形式で販売されているデジタルブックを読み込んで表示する仕組みを採用していました。

電子書籍データはフロッピードライブを物理的に接続して読み込みます。ちなみに本体内に保存可能な冊数はわずか「1」冊

 このデジタルブックは辞書ではなく文芸書も数多く発売されていたほか、端末自体も前述のデータディスクマンのようなクラムシェル型ではなく現行のスマホやタブレットと同じストレート型で、タッチではなくボタン操作でページをめくる点を除けば、現行の電子書籍端末にかなり近いスタイルだったと言えます。