若年世代から圧倒的な支持を受けているコンテンツの「恋愛リアリティショー」。一般的には若い美男美女が恋愛をする様が繰り広げられるが、2023年にNetflixが配信開始した『あいの里』シリーズはちょっと毛色が違う。

 というのも、出演者は35歳から60歳で、見る人によっては「見るに堪えないコンテンツ」ともいえる作品だからだ。それでも多くの人から注目され、2024年にはシーズン2も配信している。いったいなぜ、『あいの里』はここまで愛されたのか。原田曜平氏による新著『中年中心社会 団塊ジュニアとポスト団塊ジュニア』から一部抜粋してお届けする。

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おじさんとおばさんが古民家で……これまでだったら「見るに堪えない」コンテンツがヒットしたワケ

 2023年5月、Netflixで35歳以上でないと参加できない恋愛リアリティショー『あいの里』の配信が始まりました。大々的に宣伝されることもなかったため、配信当初はそれほど話題になっていなかったのですが、徐々に口コミで広がって大きな人気を博しました。

「複数の男女が恋の丁々発止を繰り広げ、カップル成立を目指す」タイプの恋愛リアリティショーは、過去に『テラスハウス』(フジテレビ)、『オオカミには騙されない』(ABEMA)などたくさん制作されていますが、その参加者はいずれも10代、20代が中心で、おしゃれな美男美女揃い。画面映えはしますが、若いゆえに会話がいかにも“青臭い”というか薄っぺらく、いい中年が観るにはなかなかつらいものもありました。

2023年に配信を開始した『あいの里』(Netflix公式サイトより)

 しかし『あいの里』に出てくる男女は違います。参加者は35歳から60歳の男女。ほとんどが団塊ジュニア世代とポスト団塊ジュニア世代です。中年、なんならシニアの参加者の多くは、必ずしも特別な美男美女ではない普通の容姿の人たちで、彼らが外界と隔絶された古民家に集まって共同生活を送りながら、キラキラしているこれまでの恋愛リアリティショーとはまったく違う世界観になっています。

 参加者によっては「かなりみっともない」ふるまいを晒してしまう人もいる中で、“人生最後の恋”を求めて奮闘する──。「おじさんとおばさんの恋」。昭和的な価値観では、絵面的に見るに堪えないコンテンツ、と言われてしまっていたのかもしれません。

 が、同作は大ブレイクしました。そのブレイクを支えた中心視聴者は、参加者と同世代のミドル層です。私の知り合いの同世代もこれを観て興奮してFacebookにこの番組の感想を載せまくっていました。それだけ、ミドル層にとって「恋愛」は、まだまだ我が事の人も多く、また、最後の恋愛至上主義世代(最初の草食男子世代)として、強くノスタルジーを掻き立てられた、ということなのだと思います。