「婚活」であり「終活」……恋愛を超えた人間劇が話題に
参加者にはバツイチ子持ちなど離婚経験者も多く、歳を重ねているだけあって、抱えている過去がシリアスでかなり重い。それなりの人生経験を積まなければ出てこない含蓄ある言葉も多く飛び出し、単に「好き、嫌い」、外見が「タイプだ、タイプでない」では割り切れない感情の機微、理想と現実の間での葛藤など、酸いも甘いも噛み分けた大人たちによる複雑で趣のある人間模様が繰り広げられました。『あいの里』は中年の鑑賞に堪える、味わい深い人間観察コンテンツであり、そこがミドル層に刺さりました。
彼らが行っているのは単なる恋愛ゲームではありません。真剣な婚活であり、人によっては終活です。「この人と結婚したら、どんな現実的な生活が待っているのか?」、参加者はそれを突き詰めて考えながら、慎重に相手を見定めていきます。
なんという結婚疑似体験。肩書きとルックスでマッチすることがほとんどであるマッチングアプリなんかより、ずっとリアリティがある。ミドル層は若いころに高視聴率で人気を博していた『あいのり』(フジテレビ)以来、久々に「自分たち世代に刺さる恋愛リアリティショー」に出会ったのでした。
『あいの里』というタイトルは、1999年から2009年までフジテレビ系で放映されていた『あいのり』を多分に意識しています(そもそも、『あいのり』と同じスタッフで制作されています)。『あいのり』は、まだ恋愛リアリティショーという言葉が日本で浸透していなかったころの大ヒット人気番組。男女7人が「ラブワゴン」と呼ばれる車に乗って世界中を旅し、告白して成功したらふたりで帰国、失敗したらひとりで帰国、というものでした。
『あいの里』もそれに近く、ひとつ屋根の下で男女が共同生活を送りながら、告白して成功したらふたりで家を出る、失敗したらひとりで帰る。要するに、20~30代のころに『あいのり』を観ていた層をそのまま取り込んだのが、『あいの里』だったのです。
なお、スタジオでVTR越しに参加者たちを見守るMCの田村淳さんは、1973年生まれの団塊ジュニア世代。同じくMCのベッキーさんは、1984年生まれのポスト団塊ジュニア世代。ふたりが感極まって涙をにじませることも、一度や二度ではありませんでした。
