法務省はどういう神経なのか?
――村木さんは本の中で法制審について「法務省にとって都合の悪いことは決められない組織」と書かれていますが、本当にそうですね。今回の再審法改正のための法制審再審部会はもっとひどくて、一般有識者の委員が1人もいませんでした。
専門家といっても、再審や冤罪についての論文を書いた研究者はいない。時事通信のアンケートに「(そのような論文を)書いたことがある」と答えた研究者の委員はゼロでしたね。結局、日弁連の委員以外は、法務省の意向に沿う人たちばかりでした。
村木 私は逮捕されて取り調べを受けた時、検事から「真実は誰にも分からない」と言われました。確かに、検察官も弁護人も裁判官も、真実は知らないんですね。その一方で、やったにせよ、やっていないにせよ、被告人は真実を知っています。
つまり刑事司法は、真実を知らない人が、真実を知っている人を裁くわけですね。だから、裁く側は謙虚にならなければいけない。その謙虚さの表れとして、慎重に公正公平に裁ける制度を作るための法改正をしようということだと思うんですよ、ほんとうは。
それなのに、再審法などは超党派の議員連盟が作った改正法案より、はるかに後退した案を法制審がまとめ、法務省は平気で法案として出して来たんですよね。どういう神経なのか……。一般市民の常識とは、相当にずれている気がします。
――なんで法制審はあそこまでひどいんでしょうね。
刑事司法ムラの閉鎖性が問題
村木 法制審でも、他の分野の法律を議論する部会はもっとましだと聞きました。世の中が変わって制度を変えなければならなくなっているわけで、世の中の変わりようを分かっている人を委員に入れざるをえない。それで割と建設的な議論ができている部会もあるようです。
やはり問題は、検察が関わってくる刑事司法ですよね。検察官が刑事局長で、裁判における一方の当事者の人たちが主体になって事務局を構成する。だから、閉じられた世界になりがちですよね。自分も役人だったから分かりますけど、閉鎖的なムラは偏るんですよ。
――閉鎖性が問題……。
村木 やはり問題があったら、外の目を入れないと。空気も時々換えてあげないと、中にいる人たちもかわいそうですよ。
それに、猟犬のように「捕まえてこい」と言われて育つのだから、捕まえる、有罪にする方向にバイアスがかかるのは当たり前。自制しろと圧をかけるのではなくて、無理がかからないよう録音・録画をして監視の目を入れるとか、もう一方の当事者(弁護人)やレフリー(裁判官)にも証拠を開示して情報を持たせるとか、外側からルールを作ってあげないと。(つづく)
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