『デカワンコ』『君に届け』…実写化作品に定評のあった20代
多部はこういう異次元の存在を演じるのが上手い。特に印象深いのは2011年のドラマ『デカワンコ』(日本テレビ系)で演じていた主人公の“ワンコ”こと花村一子だ。同作は同名漫画の実写化作品で、一子は警察犬並みの嗅覚を持つ役柄。刑事にもかかわらず、勤務中もゴスロリファッションで、性格はど天然というかなりクセのあるキャラクターを多部は見事に乗りこなしていた。
その前年にも大ヒット少女漫画の実写映画『君に届け』で、長い黒髪と陰気な雰囲気から貞子と恐れられるヒロインの爽子を好演。ビジュアルはもちろんのこと、爽子の純粋さと不器用さを混じり気のない演技で見せ、再現度が高すぎると原作ファンからも評価されていた。一見すると宙に浮いているようなキャラクターに多部は豊かな感受性で“温度”を与え、観る人に近づけてくれる。漫画の実写化作品への起用が多いのも、そのためだろう。
30歳で結婚→32歳で出産…復帰後もキュートさは健在
プライベートでは2019年に写真家の熊田貴樹と結婚し、2021年に第1子を出産。年齢的にも落ち着いた役柄も増えてきた印象だが、キュートさは未だ健在だ。多部の場合、ただ可愛いだけではなく、『これは経費で落ちません!』(NHK総合)や『私の家政夫ナギサさん』(TBS系)で演じた主人公のように仕事もできる役が似合う。
捨松が炊き出しで嘔吐者が出たとき、看護の知識を活かしてりんと直美に的確な指示を出すシーンも「カッコいい」と話題になっていた。凛としていて美しく、しなやかで、ほどよく隙もある。完全無欠ではなく、私たちと同じように悩みながらも強くあろうとする女性を多部はいつも等身大で演じてくれるのだ。その一生懸命さは、老若男女問わず誰もが応援したくなるはず。浮世離れしたキャラクターでありながら、愛らしさと強さを兼ね備えた捨松は多部にしか演じられない役であり、これまでのキャリアの集大成とも言えるだろう。今後も劇中での活躍に注目していきたい。
参照
※1 https://ginzamag.com/categories/interview/64470
※2 https://www.nhk.jp/g/ts/XWRG4KR6Z2/blog/bl/pzA9jOD69z/bp/pXpJA6A62k/

