「今の東京は、『新自由主義』信奉者の植民地のようだ」。今年1月、建築家の山本理顕氏は日本外国特派員協会の講演で強く訴えた。同氏によれば、現在、東京の大規模再開発は「地域のコミュニティーを壊している」状態だという。
なかでも、その一端を担っていると隈研吾氏ら著名建築家たちを名指しして批判し大きな話題となった。ただ、高度経済成長から50年以上が経ち、全国で様々なインフラが老朽化を迎えて再開発の必要性が差し迫っているのも事実。日本の都市開発が抱える問題とは何か、今後どう解消していくべきか。名指しされた隈氏が山本氏の事務所を訪ね、当事者同士で本音を語り合った。
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東京が「破壊された」
隈 大先輩にこの間の講演で私の名前を挙げられたから、つい背筋が伸びましたよ。
山本 隈さんは有名人ですからね。実際、今。日本文化の水準をつくっているのは隈さんですから、あそこでメディアウケのいい隈さんの名前を出せば、わかりやすくて世の中に注目してもらえるかなという気持ちもありましたね(笑)。
隈 かなわないな、まあ有名税だと思うことにします(笑)。
でも、21世紀になり日本、とりわけ東京の都市空間は一気に様変わりしました。私も海外で仕事をすることは多くありますが、かつての日本の町並みを知る日本好きの外国人たちから「なぜ日本はこんなビルばかりの人工的な町になったの?」と訊ねられることさえある。
世界超高層都市建築学会の研究組織によれば、ニューヨークのJPモルガン・チェース本社(423メートル)をはじめ、世界で昨年完成した高さ200メートル以上の超高層ビルは141棟。前年より増加し、12年連続で100棟を超えるなど、今は世界中で高層建築がブームでどこも変革にさらされていますが、東京が一番激しく「破壊された」とみる人もいるのでしょう。それがなぜ起こったのか、考える必要があります。
山本 考えるまでもないでしょう。あの場では建築家である隈さんや安藤忠雄さんの名前を挙げたけど、本当に批判すべき根本的な存在はディベロッパー。現代日本の都市開発において、最大の問題が森ビルに代表される開発する側にあるのは確かです。
隈 「ヒルズ」シリーズで知られる森ビル以外にも、三井不動産に三菱地所など、現在の東京の再開発は大企業ディベロッパーがデザインも経済も牽引していますね。

