想像力や感性をもう一度解き放って

――現在は北京在住だそうですね。これからも北京を拠点に映画を撮り続けるつもりですか? たとえば、故郷に帰って映画を作りたいという思いは?

ジン 難しい質問ですね。中国で映画の仕事をするなら、ほとんどの業界関係者がいる北京のほうが圧倒的につながりやすいのです。ただ、5年後、あるいはもっと先のことについては、改めて考えるかもしれません。北京は生活コストがかなり高いので、今後の状況を見ながら判断していくことになると思います。

――『ボタニスト』の自然をモチーフにした余白の多い作風は、ショートドラマが人気の時代に、流行の真逆を行くものだと思います。観客には本作をどんなふうに見てもらいたいですか?

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『ボタニスト 植物を愛する少年』

ジン ショートドラマや配信ドラマは、人々の集中力を奪い続けています。そのような状況の中で、『ボタニスト』のような映画は、初めて水に触れるように、初めて木に触れるように、自然とつながる感覚を自分の中に再び呼び起こし、心穏やかに観てもらう必要があります。観客の皆さんには、想像力や感性をもう一度解き放つような感覚で、この映画の世界に入ってきていただきたいですね。中国に「植物のように辛抱強く育つ」という言葉があります。この映画でそんな感覚をお届けできればと願っています。

『ボタニスト 植物を愛する少年』

『ボタニスト 植物を愛する少年』
新疆の静かな村で祖母と暮らす少年アルシンは、植物を愛し、自然と語り合う日々を送っている。そんな彼は周囲から「植物学者(ボタニスト)」と呼ばれている。失踪した叔父の気配や言葉を話す馬など夢のような出来事に導かれながら、村の雑貨店を手伝う漢民族の少女メイユーとの出会いをきっかけに、彼の世界は少しずつ揺らぎ始める。自然、記憶、そして初恋 ――現実と幻想がゆるやかに溶け合う中で、少年の成長を静かに見つめる詩的な物語。
監督・脚本・編集: ジン・イー/出演 : イェスル・ジャセレフ、レン・ズーハン/ 2025年/中国/96分/配給 : リアリーライクフィルムズ/©2025 MONOLOGUE FILMS ALL RIGHTS RESERVED / ReallyLikeFilms/5月15日(金)よりロードショー

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