豪華な共用施設に圧倒的な眺望――。憧れの象徴として人気を集めるタワーマンションだが、富裕層のなかには“終の棲家”として選ばない人も少なくない。そこには、災害時の脆弱さや老朽化、そして「出口戦略」が見えないという深刻な問題がある。日本人が知らないタワーマンションのリスクとは?

 金融アナリストの高橋克英氏の新刊『超富裕層に「おもてなし」はいらない 世界の一流が日本に惹かれる本当の理由』(講談社)より一部抜粋してお届けする。(全2回の2回目/最初から読む) 

写真はイメージ ©getty

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 更に深刻なのは、地震や台風などで電力供給が途絶えることで、エレベーターやトイレなどが使えなくなり、ライフラインが止まってしまうリスクだ。

 2019年10月の台風による浸水で、川崎市・武蔵小杉のあるタワーマンションでは、電気も水道もエレベーターも使えなくなり、全て元に戻るまでに1ヵ月近くかかった。

最終的な「出口戦略」が視界不良

 タワマンは、高級住宅地の土地付き戸建てを代々受け継ぎ暮らすのとは違い、最終的な「出口戦略」が不透明だという根本的な問題もある。

 タワマンだけでなく、我が国のマンション全体にいえることであるが、これから何十年後か十数年後かに経年劣化が進んだ際に、最終的に建て替えるのか、取り壊すのかの選択を迫られることになる。

 いずれの場合も現行法では、区分所有者の5分の4の賛成が必要となり、概して多額の所有者負担金が追加で求められることになる。タワマンのような大規模マンションになればなるほど、区分所有者の80%もの賛同を得るのは、事実上不可能だ。